2022年7月の世界遺産検定の時事問題で出そうなニュースまとめ
2022年1月から6月にかけての世界遺産関連のニュースをまとめました。
7月に世界遺産検定を受験する方は、2022年上半期はどのようなニュースがあったか見ておくと、時事問題で失点を防ぐこともできるかもしれません。
なお、Twitterでも毎日世界遺産関連ニュースを配信していますので、ご興味ある方はフォローしてみてください。
<1月>
- エクアドルの「ガラパゴス諸島」で7年ぶりに火山が噴火した
参考:https://www.afpbb.com/articles/-/3384188 - 「奄美大島」で新種 「アマミサクライソウ」が発見された
参考:https://373news.com/_kikaku/amami/article.php?storyid=149807 - アフガニスタンで発生した地震で「ジャム遺跡」のミナレットが地震により傾斜が増した
参考:https://nordot.app/856178559559155712?c=39546741839462401 - 5度目の挑戦で「佐渡金山」が世界遺産に推薦された
参考:https://www.asahi.com/articles/ASQ1X76C4Q1XUOHB01G.html - アフガニスタンの「バーミヤン遺跡」でかつて破壊された大仏周辺をタリバンが掘削した
参考:https://www.sankei.com/article/20220130-XORITM723BNCJDBPWL27OW4XIQ/
<2月>
- ポーランドとベラルーシにまたがる「ビャウォヴィエジャの森」を破壊する国境の壁がポーランドにより建設開始された
参考:https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/22/020200050/ - 「白川郷・五箇山の合掌造り集落」の上流に東京ドーム2杯分の産廃処分場計画が持ち上がった
参考:https://www.asahi.com/articles/ASQ2B7397Q1TOHGB006.html - チリの博物館がモアイ像をイースター島(「ラパ・ニュイ国立公園」)に返還すると発表した
参考:https://www.afpbb.com/articles/-/3391296
<3月>
- 「二条城」が平和の願い込めウクライナの国旗色にライトアップされた
参考:https://www.sankei.com/article/20220304-UVJHXZZEVFPFBAMQ62QYZGAVMU/ - 中国の内モンゴル自治区の巨大な砂嵐により、世界遺産「故宮」の門が倒された
- 文化庁が『水中遺跡ハンドブック』を刊行した
参考:https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/shokai/pdf/93679701_01.pdf - 「津堂城山古墳」(大阪府藤井寺市)を造るためだけに建てた倉庫群の可能性のある建築物が発見された
参考:https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_14444.html - 「国立西洋美術館」がリニューアル。記念展示『自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで』を開催する。
参考:https://www.asahi.co.jp/webnews/pages/abc_14444.html
<4月>
- ウクライナの文化遺産がロシア軍の侵攻で多大な被害を受けている
参考:https://www.elle.com/jp/culture/a39633168/ukraine-culturalsites-damaged-220405-hns/ - NHK発注の工事で「紀伊山地の霊場と参詣道」の一部で国の史跡にも指定されている「高野参詣道女人道」の参道が破損した
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220415/k10013584481000.html - 「小笠原・母島」の木を刈った2人が書類送検された
参考:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE183DJ0Y2A410C2000000/ - オランダ・デンマーク・ドイツにまたがる「ワッデン海国立公園」のキャンプ場(デンマーク)に高さ25mの竜巻のような展望台「マースク・タワー」が誕生した
参考:https://www.pen-online.jp/article/010415.html - ユネスコの世界遺産委員会のロシアでの開催が延期された
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220422/k10013593481000.html
<5月>
- NGT48が世界遺産登録を⽬指す佐渡島公式サポーター就任した
参考:https://okmusic.jp/news/474261?f=tw - 「石見銀山の大久保間歩」内でかつての作業の様子をARで体験できるアプリが開発された
参考:https://robotstart.info/2022/05/27/okubo-mabu-ar-app.html - 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の 外海(そとめ)の大野集落で、教会堂の敷地内の土が掘り返されたり、石積みが崩されたりする被害が発生した(イノシシの仕業とみられる)
参考:https://www.yomiuri.co.jp/local/kyushu/news/20220527-OYTNT50050/
<6月>
- オーストラリア「シャーク湾」でクローン繁殖で全長180キロにもなる世界最大の植物が発見された
参考:https://www.cnn.co.jp/fringe/35188353.html - インドネシア「ボロブドゥール寺院」が、保護を目的に外国人観光客の入場料を日本円でおよそ1万3000円とこれまでの4倍に引き上げる方針を示した
参考:https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220606/k10013659881000.html - イラクのチグリス川流域の気候変動による干ばつで、3400年前の古代都市が再び出現した
参考:https://www.businessinsider.jp/post-254997 - ネパール「ダルバール広場」にごみの山が出現し問題となっている
参考:https://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2022/06/post-98854_2.php - アメリカ「イエローストーン国立公園」で記録的な大洪水が発生した
参考:https://www.cnn.co.jp/usa/35188960.html - 「法隆寺」の維持管理のための費用のためのクラウドファンディングで集まった資金が1億円を突破した
参考:https://internet.watch.impress.co.jp/docs/yajiuma/1420206.html
2021年12月(第46回)世界遺産マイスター試験再現答案
私がマイスター認定を受けることができた、2021年12月の第46回世界遺産検定マイスター試験の再現答案を作成しました。
多少記憶による誤差はありますが、再現答案を作成したのは受験直後だったので、おおよそ試験での回答の通り再現できていると思います。
限られた時間の中で書いた答案であるため、そこまで自信のある内容ではありませんので、合格ラインのひとつの参考として見ていただければと思います。
特に第3問は、もう少し構成や意見をしっかりと書き上げたかったのですが、主張が弱いものになってしまったと反省しています。
▼第46回マイスター試験の問題と講評
https://www.sekaken.jp/wp-content/uploads/meister202112.pdf
第1問
1.完全性
世界遺産としての顕著な普遍的価値を構成する要素が全て含まれ、保護管理体制も確立されていること。(47文字)
2.ビューロー会議
世界遺産委員会の委員国の中から、議長1、副議長5、書記1か国で構成され、議事や日程の調整を担う組織。(50文字)
3.生物圏保存地域
人間と環境との調和を目指すMAB計画に基づき、資産保護のため核心地域、緩衝地域、移行地帯が設定された地域。(53文字)
第2問
世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択された国際条約である。その目的は、顕著な普遍的価値を有する遺産が従来とは異なる新たな脅威に直面していることから、世界遺産リストに登録して保護し、後世に伝えるための国際的な保護体制の確立にある。条約は全38条からなり、文化遺産と自然遺産の定義、世界遺産委員会と世界遺産基金の設立、遺産保護のための国際的援助体制の確立、締約国から世界遺産委員会への遺産の保全状況の報告等が定められている。
世界遺産条約は、文化遺産と自然遺産を一つの条約で保護する点に特徴がある。また、遺産の保護・保全の第一義的な義務・責任は締約国にあることを明記し、締約国における教育・広報活動の重要性も強調されている。これらの点は、世界遺産を過去の遺物ではなく、今を生きている遺産として、遺産に社会生活の中での機能・役割を付与し、活用しながら守り、伝えるという考えを示している。
(396文字 ※実際は399文字でした)
第3問
顕著な普遍的な価値(以下「OUV」)が失われた遺産を世界遺産リストから除外する事は、世界遺産リストがOUVを有する遺産を登録するものである以上、一定程度やむを得ない面がある。しかし、遺産を保護するという条約の目的からは、単にリストからの削除で問題が解決するものではない。むしろ、安易な削除は遺産の保護と関心を損なうものである。私は、削除の是非は、真にリストからの削除が不可避であったかという点と、削除後の対応はどのようなものかという点を踏まえ、将来にわたって検討されるべきものと考える。そして、現時点では、個々の遺産の削除の是非が決しているものはまだ無いと考えている。
例えば、「アラビアオリックスの保護区」は、保護区の約9割が削減されたことから完全性が失われたとして世界遺産リストから削除された。OUVが認められなくなったため、制度上、削除は不可避であったと考えられる。しかし、アラビアオリックスが絶滅した訳ではなく、その後の保護の状況を評価しないことには削除の是非を決めることはできない。また、住民投票で近代的な橋の建設が決まったため削除となった「ドレスデン・エルベ渓谷」や、街が衰退する中、開発と景観保護の両立が難しかったために削除となった「海商都市リヴァプール」では、世界遺産委員会と保有国、住民との話し合いが十分であったのか、つまり削除が不可避だったのか、という点にも疑問が残る。さらに今後、リストから削除され規制が緩くなったために無秩序な開発がなされるようなことがあれば、削除は「非」と評価されるであろう。
世界遺産リストからの削除の例ではないが、ジョージアの「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」は、真正性の観点から問題のある修復がなされたバグラティ大聖堂を構成資産から除外することで危機遺産リストから脱した。危機遺産リストの数が減ることは、一見望ましいことにも見えるが、除外されたバグラティ大聖堂の保護はどうなるのかという疑問も残る。本来であれば、真正性を損なう修復がなされないよう、充実した研究、人材育成等の支援など、そもそも危機を回避する政策に力を入れるべきであったように思う。除外されたバグラティ大聖堂の保護が後退し、地域の関心が薄れることになれば、条約の目的からは大いに問題である。
こうした対応がなされる背景には、保有国が危機遺産を汚点として捉える傾向も関係していると言われる。危機遺産に登録されるのであれば、いっそリストから削除して欲しいとの声も聞かれる。国際社会一体となった援助のため、危機遺産登録の抵抗をなくす努力も求められるように思う。危機遺産という名称に抵抗があるのであれば、抵抗の少ないネーミングに変更するなども1つの考えであろう。
リストからの削除の是非は、削除前後の状況、遺産保有国の遺産への認識と扱いを踏まえ、将来に渡り総合的に検討されるべきものである。
(※1200ギリギリでした)
マイスター試験は本当に時間との勝負です。
第1問、第2問は、ある程度は事前に回答を準備しておくことが可能ですので、第3問にかけられる時間を増やすためにも、しっかりと準備しておくことをお勧めします。
第1問、第2問について自分が準備したことについては、別記事に書いていますので、ご興味があればご覧ください。
▼第1問の準備
▼第2問の準備
マイスター第2問(条約説明問題)対策|回答例
1.マイスター試験第2問について
マイスター試験の第2問は、「世界遺産条約」について、与えられた4つの語句をすべて使って、400 字以内で説明するというものです。この出題形式も一貫しており、今後も続くと予想されます。
今回は、回答例として、把握できた限りで過去出題された語句をすべて盛り込み、①条約のみの説明パターンと、②作業指針に触れる説明パターンの2つを作成しました。試験場では、与えられた語句に「作業指針」に関係するものがなければ①を、あれば②をベースに構成をすれば良いと思います。
マイスター試験は論述形式なので、唯一の正解があるわけではありません。以下の回答例も、これを書ければ高得点になるという保証はなく、あくまで参考としてお考え下さい。また、講評でも指摘されていますが、使用するよう指示された語句については回答例よりも肉付けをした形で論述する(逆に使用を指示されなかった語句部分は必要に応じて削る)ことが高得点につながるのではないかと思います。
2.回答例
※2022年2月26日更新:第46回(2021年12月)で「国際的援助」のキーワードが新しく登場したため(2)の回答例を修正しました。なお、(1)の回答例は以前から「国際的援助」を入れていたため、同用語に太字+下線の付与をしました。
(1)条約のみの説明パターン(399文字)
世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択された国際条約である。その目的は、顕著な普遍的価値を有する遺産が従来とは異なる新たな破壊の脅威に直面しているため、世界遺産リストに登録して保護し、後世に伝える国際的な協力体制の確立にある。条約は全38条で、文化遺産や自然遺産の定義、世界遺産リストと危機遺産リストの作成、世界遺産委員会や世界遺産基金の設立、国内保護機関の設置や立法・行政措置、国際的援助、教育事業計画の策定、締約国から世界遺産委員会への報告、国際社会全体の義務として遺産の保護・保全に協力すべきであること等が定められている。また、遺産の保護・保全の第一義的な義務・責任は締約国にあることを明記している。世界遺産条約は、文化遺産と自然遺産を1つの条約で保護する点に特徴がある。また、教育・広報活動の重要性を強調し、世界遺産に社会生活の中での機能・役割を与えるべきとの考えも示されている。
(2)作業指針に触れる説明パターン(400文字)
世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択された国際条約である。その目的は、顕著な普遍的価値を有する遺産を従来とは異なる新たな破壊の脅威から保護し、後世に伝える国際的な協力体制の確立にある。条約は全38条で、世界遺産リストと危機遺産リストの作成、世界遺産委員会や世界遺産基金の設立、教育事業計画の策定、国際的援助、締約国から委員会への報告、国際社会全体の義務として遺産の保護・保全に協力すべきこと等が定められている。また、遺産の保護・保全の第一義的な義務・責任は締約国にあると明記している。世界遺産条約は、文化遺産と自然遺産を1つの条約で保護する点に特徴がある。また、教育・広報活動の重要性を強調し、遺産に社会生活の中での機能・役割を与えるべきとも示されている。
なお、顕著な普遍的価値の基準として、世界遺産委員会が定める世界遺産条約履行のための作業指針中に10項目の登録基準が定められている。
3.過去問で登場したキーワード
▼第26回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201612.pdf
世界遺産委員会
顕著な普遍的価値
国際社会全体の義務
社会生活の中での機能・役割
▼第28回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201707.pdf
文化遺産と自然遺産
顕著な普遍的価値
世界遺産基金
教育・広報
▼第30回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201712.pdf
ユネスコ
顕著な普遍的価値
国際社会
教育・広報活動
▼第32回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201807.pdf
登録基準
顕著な普遍的価値
報告
教育・広報活動
▼第34回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201812.pdf
文化遺産と自然遺産
国際的な協力体制
教育・広報活動
報告
▼第36回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201907.pdf
世界遺産基金
危機遺産リスト
教育事業計画
報告
▼第38回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201912.pdf
世界遺産基金
危機遺産リスト
教育事業計画
登録基準
▼第40回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister202007.pdf
顕著な普遍的価値
世界遺産基金
教育事業計画
社会生活の中での機能・役割
▼第42回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister202012.pdf
顕著な普遍的価値
従来とは異なる新たな破壊の脅威
教育事業計画
世界遺産条約履行のための作業指針
▼第44回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister202107.pdf
顕著な普遍的価値
従来とは異なる新たな破壊の脅威
教育・広報活動
機能・役割
▼第46回
https://www.sekaken.jp/wp-content/uploads/meister202112.pdf
国際的援助 ←NEW
報告
教育・広報活動
機能・役割
4.参考サイト
マイスター第1問(語句説明問題)対策|語句表と講評の分析
1.マイスター第1問(語句説明問題)対策語句表
マイスター試験の第1問は、例年3つの単語についてそれぞれ約50文字で説明するというものです。この出題方式は今後も続くと思われます。
出題されそうな重要語句について、約50文字で回答案を作成しました。過去出題されたものについては、右側に出題された回を記載しています。なお、過去1回出題された語句は青字、2回以上出題された語句は赤字にしています。
2.第1問の講評の分析
第1問について、過去問の講評では、以下のようなポイントが指摘されています。
<一般的なポイント>
- 学習の際には、それぞれの語句の最重要ポイントがどこであるかを考えながら、キーワードを正しくつかむことが重要(第26回、第28回、第30回、第32回、第34回、第36回、第38回、第40回、第42回、第44回)
- 50 文字以内で説明するのが難しいようなものは、重要なポイントを押さえながら要約することができるかが鍵となる。点数が低かった受検者の中には、要素の羅列になっており説明が散漫になっているものが多かった(第28回)
- 登録基準のところは点数が取りやすいので、作業指針内の内容が過不足なく含まれていると点数が高くなった(第40回)
- どの語句も複数の点が含まれている解答は点数が高くなった(第42回)
<語句ごとのポイント>
- 「負の遺産」は世界遺産条約に定義されておらず、その点を記述することも加点のポイントであった(第30回)
- 「世界遺産委員会」では委員国数や新規登録以外の審議も行われる点、「5 つの C」では世界遺産条約履行のための戦略目標である点などが書かれている必要がある(第32回)
- 「登録基準(iii)」では文化的伝統や文明の存在を示すだけでなく、人類の化石遺跡など途絶えた文化や文明を含むことも触れる必要がある(第34回)
- 「京都ビジョン(2012 年)」では、内容だけでなく、いつ何のために採択されたものであるのかまで書かれていた解答は点数が高くなった(第34回)
- 「文化的景観」では文化遺産登録の多様性につがなる点や、「真正性」では奈良文書による概念の変化に触れている解答は点数が高くなった(第36回)
- 「登録基準(v)」では文化的景観にも触れている解答は点数が高くなった(第38回)
- 「奈良文書」では、真正性に関する合意であることと、真正性が気候や風土、歴史、文化に即してとらえられるようになったことも書く必要がある(第38回)
- 「危機遺産」では人間の関与により危機状態の改善が可能なことや、登録基準が作業指針で定められていることなどが書かれていると点数が高くなった(第40回)
- 「世界遺産基金」ではユネスコの財政規則に基づき設立された信託基金である点と、世界遺産委員会が決定する目的にのみ使用できる点の両方を含む必要がある(第42回)
- 「緊急的登録推薦」では、OUV が明らかな暫定リスト記載の遺産である点と、世界遺産リスト記載と同時に危機遺産リストにも記載されることが書かれている必要がある。片方だけの内容では十分な説明とは言えず、短い言葉で要点が抑えられている解答に高得点が与えられた(第44回)
語句表は講評で指摘されている上記のようなポイントを踏まえて作成しています。一般的なポイントとして、「どの語句も複数の点が含まれている回答は点数が高くなった」(第42回)と指摘されていることからも、高得点を取るためには、キーワードとなる語句や言い回しを多く入れ込むことが必要だと思います。
そのため語句表では、公式テキスト等で書かれている内容について、意味を害しない範囲で文字数を圧縮し、多くの要素を埋め込むことを意識しました。文字数が厳しい場合は「顕著な普遍的価値」を「OUV」としたり、IUCN等の団体名についても省略形で記載したりしています。また、例えば「文化的景観」については、「人間社会が自然環境による制約の中で、社会的、経済的、文化的に影響を受けながら進化」(40字)という部分を、「人間社会が自然の制約下で社会的・文化的影響を受け進化」(26字)と圧縮するなどしています。
3.第46回(2021年12月)の出題予想
2021年11月現在、登録基準の(i)、(iv)、(vi)、(x)の出題がまだありません。そのため、この4つのうち一つは出題される可能性が高いと思います。
また、過去出題が多く、最近は出されていない、
- 奈良文書
- バッファー・ゾーン/緩衝地帯
- 5つのC
- 京都ビジョン
あたりも出題される可能性があると思います。
責任は持てませんが、参考になれば幸いです。
世界遺産検定マイスター過去問アーカイブ
※第46回(2021年12月)マイスター試験の過去問をアーカイブしました。
世界遺産検定マイスターの過去問と講評はオンラインで公開されています。
しかし、探すのは結構手間だったりします(検索してもうまくヒットしないなど…)
以下に、現在ネットで見つけられる過去問のリンクをまとめました。
将来リンク切れとなる可能性もありますので、必要な方はダウンロードして保存しておくことをお勧めします。
▼第26回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201612.pdf
▼第28回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201707.pdf
▼第30回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201712.pdf
▼第32回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201807.pdf
▼第34回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201812.pdf
▼第36回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201907.pdf
▼第38回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister201912.pdf
▼第40回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister202007.pdf
▼第42回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister202012.pdf
▼第44回
https://www.sekaken.jp/pdf/meister202107.pdf
▼第46回
https://www.sekaken.jp/wp-content/uploads/meister202112.pdf
世界遺産検定1級・2級の勉強法/まとめノートの使い方
1.世界遺産1級・2級の勉強法
(1)公式テキストを読む
世界遺産検定の勉強で最初にすべきことは、公式テキストを読むことです。時事問題やテキスト発刊後の新規登録の遺産を除き、試験は公式テキストに書いてある内容しか出題されません。
そのため、極端な話、公式テキストを丸暗記してしまえば合格は確実です。
しかし、公式テキストは分量が多く、特に1級では1000件を超える遺産のすべてを暗記することは、一部の天才の方を除いて不可能だと思います。そのため、公式テキストを読む際は、完璧には覚えられないことを前提の上で「とりあえず通読する」ことが大切だと思います。
私は1級・2級とも、試験までに公式テキストを2回通読しました。人によって記憶の定着度合も異なるとは思いますが、2、3回通読すれば十分なのではないかと思います(ここでの「十分」とは、完璧に覚えるという意味ではありません。あくまで試験対策として十分という意味です)。
その後は、以下(2)、(3)のようなステップに進んだ勉強をする方が効率的です。
それでも何度も読みたいという場合は、冒頭の「世界遺産の基礎知識」、「日本の遺産」を重点的に繰り返して読むことをお勧めします。この部分は、ページ数の割に出題頻度が高く、得点効率が良いためです。
(2)過去問を解いてみる
テキストを通読し終えたら、過去問を購入して実際に解いてみることが重要です。2年分ほどは実際に解いてみると良いでしょう。
過去問に取り組むタイミングですが、テキストを1度通読し終えたタイミングでチャレンジしてみることをお勧めします。おそらく、1度通読しただけでは合格点に達することは難しいと思いますが、合格点に達するかどうかではなく、問題の形式や何が問われるポイントなのかを理解することが重要です。実際に解いてみると、試験において、テキストのどの部分がどのような形で問われるのかがわかります。
試験での問われ方をなんとなくでも理解したうえで再度テキストを読み込むと、ポイントを押さえた読み方ができるようになり、記憶にも定着しやすくなります。
なお、世界遺産検定の過去問は市販されており、ネットショッピングでも購入できますので、ぜひ購入をお勧めします。
(3)まとめノートで高速復習
公式テキストの通読には、かなりの時間を要します。何度も通読できる時間があれば良いのですが、勉強時間を取れない方もいると思いますし、試験が近くなれば時間的余裕はなくなります。
私も多くの試験を受験してきましたが、難しく、出題範囲の広い試験であればあるほど、試験直前に分厚いテキストを読んでもあまり意味はありません。直前に読んだところが出る可能性は低く、出なければ時間の無駄になってしまうのです。世界遺産検定1級・2級も出題範囲が広い試験であるため、直前に公式テキストを読むことは効果的ではないと考えます(冒頭の「世界遺産の基礎知識」、「日本の遺産」の部分であればまだ一定の効果は見込めますが、それでもかなりのページ数があり非効率です)。
そのため、短時間でポイントを見直せる「まとめノート的なもの」が試験直前で効力を発揮するのです。試験に出る情報を覚えやすい形でまとめたものを見返すだけであれば、直前の1~2時間でポイントを総復習することも可能です。
試験直前は、自分で作ったものか、自分で作るのが難しければ他人の作ったものでも良いので、効率よく見直せるまとめノートを活用することが合格への近道だと思います。
なお、当ブログで公開しているまとめノートでは、公式テキストの内容を踏まえつつ、過去5年分の過去問で問われた内容もほぼ漏れなく情報を拾っていますので、直前の学習にお役立ていただければと思います。
▼まとめノートの目次はこちら↓
(4)時事問題を一通りおさえる
世界遺産検定1級・2級では、世界遺産に関する時事問題も出題されます。
例えば、2021年の話題として、
「エッフェル塔を金に近い色合いへ塗り替えることが計画が発表された」、〇か×か。
のような問題が出題されます。
これの答えは、以下のニュースにもあるように、「〇」です。
このような時事問題については、
- ネットで世界遺産に関するニュースを定期的に見ておく
- 世界遺産アカデミーのサイトや公式ツイッターをチェックする
- 世界遺産関連ブログから情報を得る
- 有料の新聞記事検索サービス等で「世界遺産」と入力し検索する(図書館などでも利用可能な場合あり)
といった方法で情報収集しておけば、さほど時間をかけずに得点源とすることが可能です。この点の詳細については、機会があれば別途書きたいと思います。
2.まとめノートの使い方
当ブログでは、私の作成したまとめノートを公開しています。皆様の試験対策の一助となれば幸いですので、お役に立てていただければと思います。
使い方は単純で、
- ひたすら何度も読み返すこと
- 必要な情報を追記したり、マーカーしたりして自分用に加工すること
の繰り返しです。
私の作成したまとめのノートは、復習の効率化のため情報をかなりコンパクトにまとめていますので、世界遺産の前提知識のない方がいきなり読んでも、理解・記憶することは難しいと思ます。しかし、公式テキストを読み終え、過去問を数回分ほど解いてからお読みいただければ、試験に必要な情報がコンパクトにまとまっていることを感じていただけるのではないかと思います。
まとめノートは、公式テキストや世界遺産に関連する資料などから情報をピックアップし、年代順・トピックごとに情報を整理しているので公式テキストよりも記憶しやすい構成になっていると思います。情報をコンパクトしているため、わかりにくい部分や必要な情報が抜けていると思われる場合は、ご自分で追記していただければ専用のまとめノートとして試験前に役に立つと思います。
あくまで私の経験にはなりますが、試験1週間前からは公式テキストは確認の際にたまに見るだけで、基本的にはまとめノートの見直しだけをしていました。1日に一度、まとめノートをすべて見直し、気になったところについて公式テキストで確認して追記・補充するという作業をするだけで、十分合格できる実力は得られると思います。
以上、ざっくりですが、私の勉強法とまとめノートについて紹介させていただきました。
皆様の学習のご参考になれば幸いです。