世界遺産検定1級 まとめノート1-2.締約国会議・委員会・センター・基金
(1)世界遺産条約締約国会議
- 全締約国による会議、1976年1月第1回ナイロビ
- 2年ごとのユネスコ総会会期中に開催
- 分担金の決定
- 委員会委員国の選定
- 委員会提出の活動報告書の受理
(2)世界遺産委員会
■概要
- 1976年締約国会議で設立、当初15か国、1977年から21か国
- 通常1年1度開催
- ICCROM、ICOMOS、IUCNの代表各1人が顧問で参加
- 締約国の要請で政府間機関やNGOの代表も顧問で出席可
- 委員国は任期6年(自発的に4年で終え、再任自粛が望ましい)
- 非保有国は一定の議席を割り当てられることもできる
- 地域間の公平性を考慮
■活動
- 登録推薦された遺産に対し、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の決議をする
- 不登録の場合、例外的な場合を除き再推薦はNG
※例外:新たな科学的情報、別の登録基準で再推薦 - 1締約国の推薦上限は1回1件、審議数は35件まで
■主な審議内容
- 推薦された遺産の審議
- リストへの追加・解除の決定
- 遺産の保全モニタリング、報告書を通した調査
- 世界遺産基金の使途の決定
- 作業指針の改定及び採択
- 2年ごとの締約国会議とユネスコ総会への活動報告書提出
- 国際的援助の要請の審査 等
■ビューロー会議
- 議長国1、副議長国5、書記国1の7か国、任期1年
- 委員会の進行、作業日程の決定
- 委員会最終日に次回ビューロー会議構成国を決定
<2021年のビューロー会議構成国>
議長国:中国
副議長国:バーレーン、グアテマラ、ハンガリー、スペイン、ウガンダ
書記国:バーレーン
<2022年のビューロー会議構成国>
議長国:ロシア
副議長国:セントクリストファー・ネイビス、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、タイ
書記国:バーレーン
<参照サイト:https://whc.unesco.org/en/sessions/45COM>
(3)世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)
- 1992年設立、委員会を補佐する事務局、パリ・ユネスコ本部内常設
- 登録推薦書を受理、事務局登録、専門調査を依頼
- 締約国会議、世界遺産委員会の開催・運営
- 締約国会議と委員会での決議の履行や実施状況の報告
- グローバル・ストラテジーを含む諸活動の調整
- 定期報告の取りまとめ
- 国際援助の調整
- 世界遺産保全管理のための予算外資金の確保
- 広報活動
(4)世界遺産基金
■概要
- 1976年設立の信託基金(ユネスコ財政規則に基づく)
- 財源:ユネスコ分担金の1%を超えない範囲(実際は1%を適用)の拠出金と任意の拠出金、政府間機関・個人の贈与・遺贈
- 課題:資金不足(2018年米国脱退)、緊急援助より準備援助に優先的に振分
- 締約国は2年に1回拠出金(未払国は委員国NG、緊急援助以外の国際援助もNG)
- 委員会が決定する目的にのみ使用可能(政治的条件はNG)
■基金運用の基準
- 緊急援助:災害・事故・紛争等での被害からの復興費用
- 準備援助:事前調査への準備援助
- 保全・管理援助:専門家等の派遣・機材購入、専門家育成、教育・広報等