世界遺産検定1級 まとめノート1-7.世界遺産条約と関連する憲章・条約
(1)アテネ憲章(歴史的記念建造物の修復のためのアテネ憲章)
- 1931年第1回「歴史的記念建造物に関する建築家・技術者国際会議」で採択
- 記念物や建造物、遺跡などの保存・修復に関する基本的な考え方を初めて明確に示した
- 修復の際に近代的な技術と材料の使用を認める
(2)ヴェネツィア憲章(記念建造物及び遺跡の保全と修復のための国際憲章)
- 1964年第2回「歴史的記念建造物に関する建築家・技術者国際会議」で採択
- 修復の際には建設当時の工法・素材を尊重すること
- 推測による修復の禁止
- 歴史的に誤解を与えぬよう修復箇所を明らかにすること
- 修復に際して不可避な付加工事があった場合には後から補ったものであることを示す
→条約の「真正性」概念となり、真正性の検証機関としてICOMOSが設立(1965年) - 伝統的な技術が明らかに不適切である場合のみ、近代的な技術を用いることができる
・姫路城:昭和の大修理で礎石をRCの基礎構造部に置き換え
(3)ハーグ条約(武力紛争の際の文化財の保護に関する条約)
(4)文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止並びに防止の手段に関する条約
- 1970年第16回ユネスコ総会で採択、1972年発効
- 盗難された文化財の密貿易等を禁止
- 加盟国は、以下を求められる
・文化財の認定や目録の作成
・保護機関の設置
・不法輸出文化財の復旧を保証する加盟国間の協定の締結
・摘発のための国際協力
・善意購入者への補償
・教育活動
(5)人間環境宣言(ストックホルム宣言)
- 1972年ストックホルム「国際連合人間環境会議」で採択
- 国際社会が初めて環境問題と環境保全について取り組む原則をまとめた
→文化遺産と自然環境の保護・保全の条約作りが進められ同年ユネスコ総会で世界遺産条約へ
(6)公的又は私的の工事によって危機にさらされる文化財の保存に関する勧告
- 1968年第15回ユネスコ総会で採択(ヌビアの遺跡群の救済活動を受け)
- 社会的・経済的な発展による変化との調和を図りながらの保護・公開を各国の義務
(7)歴史的都市景観の保護に関する宣言
- 2005年10月締約国会議で宣言
- 2005年5月、ウィーン中央駅界隈の開発と遺産保全を巡る国際会議で「ウィーン・メモランダム」
- ウィーン・メモランダム:世界遺産と現代建築に関するウィーン覚書
- 世界遺産に関しては、
・歴史的都市景観の概念を推薦書などの保護計画に含むことを推奨
・世界遺産のOUVはどんな保護方針や運営方針よりも中心にすえられるべき
(8)ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)
(9)世界遺産におけるボン宣言
(10)世界遺産条約履行に関する戦略的行動計画(2012-2022)
2011年締約国会議で採択、締約国共通の目標を定める
- OUVの維持
- リストの信頼性向上
- 環境・社会・経済的要求を考慮した遺産保護・保全
- ブランド力向上
- 委員会の行動力強化
- 条約決議の公開と実行