世界遺産検定1級まとめノート3－1．最初の12件（1978年）
（１）イエローストーン国立公園＠アメリカ
- 基準：78910
- ワイオミング州、モンタナ州、アイダホ州の3州、アメリカ最大規模の国立公園
- 1869～72年、4回調査の後1872年に世界初の国立公園に指定（100年後に世界遺産条約採択）
- スー族「霊気に満ちた場所」
- 200万、120万、60万年前に大規模噴火、最後の噴火で巨大なカルデラが形成
- 間欠泉、温泉、噴気孔は約1万、世界の半数
- ウィルダネス「手つかずの自然」、山火事が発生しても消さない
- オールド・フェイスフル間欠泉、マンモス・ホット・スプリングス（テラス）
- エメラルド湖（バクテリアなど多数の微生物や藻類の働きで青緑色の湖水）
- イエローストーン川：ワイオミング山地→イエローストーン湖→ロワー滝（94m）→大渓谷
- 植物：ロッジポールマツ、アメリカオキナグサ、モンキーフラワー
- 動物：アメリカバイソン、グリズリー、ヘラジカ、ナキハクチョウ
- 1995年上流の鉱物資源調査で危機リスト→環境回復運動や計画見直しで2003年リスト脱
（２）ナハニ国立公園＠カナダ
- 基準：78
- カナディアン・ロッキー北西、サウス・ナハニ川沿い一帯の公園
- 上流はゆっくり、ヴァージニア滝（100ｍ）を過ぎると急流
- 公園内は高緯度のツンドラ地帯でありながら気候が穏やか、温泉も出る、車道なく人は少ない
- 天候によりオーロラも見える
（３）ガラパゴス諸島＠エクアドル
- 基準：78910 ※2001年範囲拡大
- 大小19の島と周辺の岩礁からなる火山群等
- チャールズ・ダーウィン「種の起源」、1835年測量船ビーグル号
- ゾウガメ（スペイン語でガワパゴ）、海イグアナ、ダーウィン・フィンチ
- 密猟、乱獲、イヌ、ネコ、ブタ、ヤギなど外来種、観光圧力→2007～10年危機遺産
- 移住制限や太陽光発電等の環境保全計画が評価、根本的な問題解決には至っていない
（４）キトの市街＠エクアドル
- 基準：24
- 標高2850m、エクアドルの首都、新大陸の宗教の中心
- 15cインカ帝国の支配、クスコに次ぐ第2の都市
- 1553年スペイン人の侵略、インカ族は自ら街を焼く→スペイン人が植民都市キトを建築
- 18cまでに修道院、教会堂など多数建築（フランシスコ会、ドミニコ会、イエズス会）
- かつて「アメリカ大陸の修道院」の異名
- キト大聖堂：独立広場、主祭壇背面にインディオ彫刻家カスピカラ「ラ・サバナ・サンタ」
- ラ・コンパニーア教会：エクアドル屈指のバロック、完成に160年、総重量７ｔの金箔の主祭壇
- サン・フランシスコ修道院：1535年アメリカ最古、「キト派」の様式と集団
（５）ラリベラの岩の聖堂群＠エチオピア
- 基準：123
- 標高3000m、エチオピア高原北東部
- 12～13cザグウェ朝の7代国王ラリベラの命で建造（第２のエルサレムを目指す）
- 11の岩窟キリスト教聖堂群（20年で制作、「天使が作った」と言われる）
- ヨルダン川を模した川の南北に5つ、300m程離れた場所に1つ（←ギョルギス）
- マリアム聖堂：最初、屋根は彩色、内部は壁画、中庭にマスカル聖堂
- ギョルギス聖堂：最後、柱がないギリシャ十字型の箱←夢で王に聖ゲオルギウスが命じる
- ゴルゴタ・ミカエル聖堂：同じデザインの2つの聖堂が内部でつながる
- デナゲル聖堂：「聖母の家」という意味
- アクスム王国（紀元前後）、古代ローマ、ギリシャ、ビザンツ帝国の建築様式の影響
- 現役の宗教施設
（６）シミエン国立公園＠エチオピア
- 基準：710
- アフリカ第4のラスダシャン山（4260m）がそびえる山岳公園
- 氷河がつくった渓谷や岩山、「アフリカの天井」
- 一日の寒暖差が激しく生物種限定
- ワリアアイベックス：ヨーロッパと陸続きだったことの証明）
- ゲラダヒヒ：キリストの使いとして珍重、ライオンのようなたてがみの霊長類
- 密猟や新道路建設計画等で1996年危機遺産、代替の道などの対策で2017年リスト脱する
（７）クラクフの歴史地区＠ポーランド
- 基準：4 ※2010年範囲変更
- 11c～17cのワルシャワ遷都までの約600年間首都として繁栄
- 登録の10㎢の旧市街に歴史的建造物が点在、かつて国王居城のヴァヴェル城（10c半ば）
- 中世ヨーロッパで2番目に古いヤギェウォ大学、全長100mの織物会館など
（８）アーヘンの大聖堂＠ドイツ
- 基準：1246 ※2013年範囲変更
- 793～813年にかけて作られた宮廷兼礼拝堂を起源とするカロリング・ルネサンスの象徴
- カール大帝によってフランク王国カロリング朝の首都的存在
- 16cまで30人の神聖ローマ皇帝が戴冠式
- 聖堂は八角形の中心部を十六角形の周歩廊が取り囲む「集中式」
- 13cに礼拝堂主祭壇に「カール大帝の聖遺物箱」が奉じられた
- 15cにゴシック様式の内陣
- 17cにバロック様式の円蓋
- 青銅製の扉や柵は現存する唯一のカロリング朝時代の青銅製作品
（９）ヴィエリチカとボフニャの王立岩塩坑@ポーランド
- 基準：4 ※2008年範囲変更、2008年、2013年範囲拡大
- クラクフの南東約15km
- 2000万年前は海→塩湖→岩塩層
- 10c末に存在知られる、12c末ポーランド王カジミエシュ2世が城塞建造、採掘権独占
- 13cから本格的な採掘、14～16cはポーランド王国の財源1/3、「白い金」
- 17cから衰退、現在も少量岩塩採掘、一部博物館、療養所（塩の殺菌作用で空気浄化）
- 9層の坑道、700年間で深さ300m、総延長300km
- 木製の巻き上げ機、トロッコ、坑道内に鉄道（←18cハプスブルク家フランツ2世視察用）
- 岩塩彫刻、最後の晩餐の模写、地下101mの聖キンガの礼拝堂（シャンデリアも岩塩）
- ポーランド王と結婚したハンガリー王女聖キンガが指輪を投げ入れた所で岩塩坑発見（伝説）
- 2013年ボフニャの王立岩塩坑と掘削作業の管理棟が追加登録
（10）ランス・オー・メドー国立歴史公園＠カナダ
- 基準：6 ※2017年範囲変更
- カナダ東岸ニューファンドランド島北端
- 1000年頃北欧から渡来のヴァイキングの集落跡、北米に初めて到達したヨーロッパ人の痕跡
- 1960年代にノルウェーの歴史学者が12～13c編纂の「サガ」に基づき調査
- ノルウェーの様式と一致する共同住宅、作業場、鍛冶場の計8つの建造物の土台、青銅器や鉄器
（11）ゴレ島＠セネガル
- 基準：6
- 首都ダカールの南東沖約3㎞、奴隷貿易の痕跡を残す島
- 1444年無人島、ポルトガル人「パルマ島」
- 奴隷、蜜蝋、金の集積地
- ポルトガル→16cオランダ→17cイングランド→オランダ→18cフランス→イングランド
- 最終的に1783年から20cのセネガル独立まではフランスが支配
- 三角貿易：武器や綿製品で奴隷を買い、アメリカ大陸に売り、砂糖・コーヒー・綿花を得る
- 三角貿易は1815年に奴隷貿易廃止まで継続
- 島の東岸に「奴隷の家」、2階は奴隷商人、1階に奴隷の部屋。現在は博物館。
- 島の北部にエストレ要塞（フランス）、現在は歴史博物館
- 島の南端に砦や砲台
- 建物の老朽化、1980年代から修復作業
