世界遺産マイスターを目指す|世界遺産検定スタディブログ

【2021年版】世界遺産検定まとめノート公開中(1・2級、マイスター向け)

2021年12月(第46回)世界遺産マイスター試験再現答案

私がマイスター認定を受けることができた、2021年12月の第46回世界遺産検定マイスター試験の再現答案を作成しました。
多少記憶による誤差はありますが、再現答案を作成したのは受験直後だったので、おおよそ試験での回答の通り再現できていると思います。

限られた時間の中で書いた答案であるため、そこまで自信のある内容ではありませんので、合格ラインのひとつの参考として見ていただければと思います。

特に第3問は、もう少し構成や意見をしっかりと書き上げたかったのですが、主張が弱いものになってしまったと反省しています。

▼第46回マイスター試験の問題と講評
https://www.sekaken.jp/wp-content/uploads/meister202112.pdf

 

第1問

1.完全性

世界遺産としての顕著な普遍的価値を構成する要素が全て含まれ、保護管理体制も確立されていること。(47文字)

2.ビューロー会議

世界遺産委員会の委員国の中から、議長1、副議長5、書記1か国で構成され、議事や日程の調整を担う組織。(50文字)

3.生物圏保存地域

人間と環境との調和を目指すMAB計画に基づき、資産保護のため核心地域、緩衝地域、移行地帯が設定された地域。(53文字)

 

第2問

 世界遺産条約は、1972年のユネスコ総会で採択された国際条約である。その目的は、顕著な普遍的価値を有する遺産が従来とは異なる新たな脅威に直面していることから、世界遺産リストに登録して保護し、後世に伝えるための国際的な保護体制の確立にある。条約は全38条からなり、文化遺産と自然遺産の定義、世界遺産委員会と世界遺産基金の設立、遺産保護のための国際的援助体制の確立、締約国から世界遺産委員会への遺産の保全状況の報告等が定められている。

 世界遺産条約は、文化遺産と自然遺産を一つの条約で保護する点に特徴がある。また、遺産の保護・保全の第一義的な義務・責任は締約国にあることを明記し、締約国における教育・広報活動の重要性も強調されている。これらの点は、世界遺産を過去の遺物ではなく、今を生きている遺産として、遺産に社会生活の中での機能・役割を付与し、活用しながら守り、伝えるという考えを示している。
(396文字 ※実際は399文字でした)

 

第3問

 顕著な普遍的な価値(以下「OUV」)が失われた遺産を世界遺産リストから除外する事は、世界遺産リストがOUVを有する遺産を登録するものである以上、一定程度やむを得ない面がある。しかし、遺産を保護するという条約の目的からは、単にリストからの削除で問題が解決するものではない。むしろ、安易な削除は遺産の保護と関心を損なうものである。私は、削除の是非は、真にリストからの削除が不可避であったかという点と、削除後の対応はどのようなものかという点を踏まえ、将来にわたって検討されるべきものと考える。そして、現時点では、個々の遺産の削除の是非が決しているものはまだ無いと考えている。

 例えば、「アラビアオリックスの保護区」は、保護区の約9割が削減されたことから完全性が失われたとして世界遺産リストから削除された。OUVが認められなくなったため、制度上、削除は不可避であったと考えられる。しかし、アラビアオリックスが絶滅した訳ではなく、その後の保護の状況を評価しないことには削除の是非を決めることはできない。また、住民投票で近代的な橋の建設が決まったため削除となった「ドレスデンエルベ渓谷」や、街が衰退する中、開発と景観保護の両立が難しかったために削除となった「海商都リヴァプール」では、世界遺産委員会と保有国、住民との話し合いが十分であったのか、つまり削除が不可避だったのか、という点にも疑問が残る。さらに今後、リストから削除され規制が緩くなったために無秩序な開発がなされるようなことがあれば、削除は「非」と評価されるであろう。

 世界遺産リストからの削除の例ではないが、ジョージアの「バグラティ大聖堂とゲラティ修道院」は、真正性の観点から問題のある修復がなされたバグラティ大聖堂を構成資産から除外することで危機遺産リストから脱した。危機遺産リストの数が減ることは、一見望ましいことにも見えるが、除外されたバグラティ大聖堂の保護はどうなるのかという疑問も残る。本来であれば、真正性を損なう修復がなされないよう、充実した研究、人材育成等の支援など、そもそも危機を回避する政策に力を入れるべきであったように思う。除外されたバグラティ大聖堂の保護が後退し、地域の関心が薄れることになれば、条約の目的からは大いに問題である。

 こうした対応がなされる背景には、保有国が危機遺産を汚点として捉える傾向も関係していると言われる。危機遺産に登録されるのであれば、いっそリストから削除して欲しいとの声も聞かれる。国際社会一体となった援助のため、危機遺産登録の抵抗をなくす努力も求められるように思う。危機遺産という名称に抵抗があるのであれば、抵抗の少ないネーミングに変更するなども1つの考えであろう。

 リストからの削除の是非は、削除前後の状況、遺産保有国の遺産への認識と扱いを踏まえ、将来に渡り総合的に検討されるべきものである。
(※1200ギリギリでした)

 

マイスター試験は本当に時間との勝負です。

第1問、第2問は、ある程度は事前に回答を準備しておくことが可能ですので、第3問にかけられる時間を増やすためにも、しっかりと準備しておくことをお勧めします。

第1問、第2問について自分が準備したことについては、別記事に書いていますので、ご興味があればご覧ください。

▼第1問の準備

sekakenstudy.hatenablog.com

▼第2問の準備

sekakenstudy.hatenablog.com