世界遺産検定1級 まとめノート1-8.リスト記載までの流れ・世界遺産の今後
1.世界遺産リスト記載までの流れ
(1)概要
- 締約国はセンターの協力のもと暫定リストを作成(英語orフランス語)
- センターは暫定リストを関係機関に伝達、センターのサイトで公開
- 暫定リストに載っていない遺産は推薦不可
- 2月1日までセンターに推薦書提出(前年9月30日まで草案を提出しコメント得ることも可)
- センターへの書類は2月1日〆が多いが、登録遺産の状況報告書は12月1日〆(2014年決定)
- 推薦書をセンターに提出してから登録まで1年半ほど
- 日本の場合:9月頃関係省庁連絡会議で推薦遺産を決定、1月推薦書の閣議了解
(2)推薦書の記載内容
- 資産の範囲
- 資産の内容
- 登録の価値証明(OUVの根拠とあてはまる登録基準)
- 保全状況及び資産へ影響を与える諸条件
- 保全管理(保護のための法的措置、計画的措置、管理計画等)
- モニタリング(保全状況測定の指標等) 等
(3)登録までの流れ
2月1日までに推薦書提出
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推薦書がセンターで「完全」と判断
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諮問機関へ推薦状送付:ICOMOSとIUCNが調査、審査(夏頃)
※追加情報の提出の必要があれば、翌年1月31日までに保有国に通知
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委員会6週間前までに審査結果と提言を評価報告書にまとめ、4段階の勧告をセンターに提出
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委員会で審査、登録を決定
- 委員国の意見がまとまらず投票の場合は2/3以上同意で可決
- 2022年委員会審議の推薦遺産から、推薦書提出費用を推薦国が負担(自発的な財政貢献)
- 2021年委員会は7月16~31日。当初中国福州開催予定もWeb化、延期の2020年と合わせ審査
(4)アップストリーム・プロセス
- 2008年委員会で示され、2015年委員会で採用決定
- 委員会審議までの間に推薦国からの求めで諮問機関等が助言、相談、分析等の支援を行う仕組み
(5)プレリミナリー・アセスメント(事前評価)
- 現在導入を検討中
- 推薦書提出前に諮問機関が書面で事前調査と審査を行う仕組み
2.世界遺産と観光
(1)正の側面
- 世界遺産を資源とする観光は相互理解の有効な機会
- 観光収入の遺産保護、インフラ整備、地域社会への分配は積極的に行うべき
(2)負の側面
- オーバーツーリズム、遺産の破壊、汚染、住民の日常への支障
→1980年IUCN世界保全戦略「持続可能な開発」
→1992年「アジェンダ21」(観光を持続可能な開発に積極的に貢献できる経済分野と位置づけ)
→委員会「世界遺産と持続可能な観光計画」(観光資源として活用するための指針)
3.世界遺産条約の今後
- 不均衡・登録数増で信頼性減少、環境破壊、遺産破壊、都市開発、過度の観光化などへの対応
- 「点」で保護してきた遺産を周辺の景観も含んだ「面」で保護する施策
- バッファー・ゾーンを超える一帯を含めて評価する「遺産影響評価」