世界遺産マイスターを目指す|世界遺産検定スタディブログ

【2021年版】世界遺産検定まとめノート公開中(1・2級、マイスター向け)

世界遺産検定1級まとめノート4-1.世界遺産検定語呂合わせ~年号編~

世界遺産検定語呂合わせ~年号編~

世界遺産検定では、重要な出来事を年代順に並べ替える問題が出題されます。また、重要な出来事については、それが起きた年を覚えておくことで世界遺産に関する考え方の変遷や遺産登録の背景等についての理解がより深まります。最低でも、以下の表に取り上げた出来事については、年代を即答できることが望ましいです。

語呂合わせは私の自作です。覚え方の参考までにご利用ください。

私は実際にこの語呂合わせですべて覚えていますが、語呂の中には意味が伝わらないものもあるかもしれません(例えば、2003年無形文化遺産条約採択の「松浦」は「あやや」をイメージしていますが、今の若い人は知らないのかも…?)。

いずれ気が向いたら、語呂あわせの意味についても解説をするかもしれませんが、解説をするのも寒いと思いますので、多分やりません。

1931

アテネ憲章採択

まず最初(31)アテネ憲章、採択す

1945

第二次世界大戦終結

大戦の、予後(45)に採択、ユネスコ憲章

1945

ユネスコ憲章採択

1948

IUCN設立

愛有し、失敗(48)しない、自然保護 IUCN

1954

ハーグ条約採択(武力紛争の際の文化財の保護に関する条約)

文化財、伍し(54)て保護する、ハーグ条約 

1959

ICCROM設立

いいクロム、極意(59)で修復、文化財
ICCROM 

1960

ヌビアの遺跡群の遺産救済キャンペーン開始

ヌビアから、群れ(60)を成してる、キャンペーン
※他にヴェネツィアの救済キャンペーン(1966)、ボロブドゥールの救済キャンペーン(1968)など

1964

ヴェネツィア憲章採択

ヴェネツィアの、真正性は、無視(64)できぬ

1965

ICOMOS設立

行こうモス、老後(65)はきっと、記念物
ICOMOS

1968

公的又は私的の工事によって危機にさらされる文化財の保存に関する勧告採択

格子工事、牢屋(68)保存を、勧告す
公的・私的の工事

1970

文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止並びに防止の手段に関する条約採択

輸出入、なお(70)問題と、条約化

1971

MAB計画(Man and the Biosphere program:人間と生物圏計画)

マブくない(71)、確信鑑賞、行こうかな
・MAB
・核心地域、緩衝地帯、移行地帯の3エリア

1971

ラムサール条約採択(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約

ラムサール、水鳥のない(71)、湿地はいらん
イラン

1972

人間環境宣言(ストックホルム宣言:国際連合人間環境会議)

何(72)よりも、人間環境世界遺産

1972

世界遺産条約採択(ユネスコ総会)

1977

世界遺産条約履行のための作業指針採択(第1回委員会)

指針とは、斜(77)めを直す、基準 よね
・登録基準
・4年周期で改定

1978

最初の世界遺産12件が誕生

最初のは、ナハ(78)ニを含む、12件
最初のは、悩(78)んで決めた、12件

1980

世界保全戦略(IUCN、持続可能な開発)※この行動計画としてアジェンダ21が採択

保全せん、八十(80)歳まで、愛 持続

1992

日本が世界遺産条約批准

国(92)批准センター アジェンダ文化的

1992

世界遺産センター設立

1992

文化的景観採択

1992

アジェンダ21(6月リオデジャネイロ地球サミット環境と開発に関する国際連合会議

1994

グローバル・ストラテジー採択

ストラテジー、駆使(94)して是正、不均衡

1994

奈良文書

並ぶんしょ、給与(94)申請柔軟化
真正性の考え方が柔軟化

2002

4つのC(ブダペスト宣言)

4°C、鬼(02)の形相、ブダペスト

2003

無形文化遺産条約採択

松浦を、無形文化と、おっさん(03)ら
松浦晃一郎は日本人初のユネスコ事務局長、無形文化遺産条約成立に尽力

2005

作業指針改定で、バッファー・ゾーンの設定を自然・文化遺産双方に厳格に要求、登録基準を共通のⅰ~ⅹに変更

バッファロー基準共通、怒(05)ってる(USBの基準の話)
バッファー・ゾーン

2007

5つのC(ニュージーランド第31回委員会)

5つのC、007(007)とニュージーランド

2011

世界遺産条約履行に関する戦略的行動計画(2012-2022)

戦略は、いい(11)10年を、もたらすか

2012

京都ビジョン(条約採択40周年記念最終会合、5つのCの再確認)

京美人、いつ(12)も五指まで、再確認
・京都ビジョン
・5C(5つのC)

2015

世界遺産におけるボン宣言(委員会採択)

ボンと以後(15)、イスラム内戦いいんかい

 

世界遺産検定1級 まとめノート2-9.奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島/北海道・北東北の縄文遺跡群

24.奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島

(1)概要

  • 登録:2021年、基準:10
  • 琉球奄美大島と徳之島(※)、沖縄島、南琉球西表島にある5つのエリアで構成
    ※徳之島だけ2つのエリアに分かれる
  • 登録基準10「絶滅危惧種を含む生物多様性」、日本で知床に続いて2件目
  • 登録基準9はIUCNは否定、日本の自然遺産で唯一認められず

(2)動植物

(3)構成資産

f:id:sekakenstudy:20211105160427p:plain

(出典:http://www.env.go.jp/press/files/jp/110739.pdf

25.北海道・北東北の縄文遺跡群

(1)概要

  • 登録:2021年、基準:35
  • 北海道、青森、秋田、岩手の4道県に点在する17の先史時代の遺跡
  • BC13,000年~前400年頃、採集・漁労・狩猟で定住した縄文時代の集落生活、精神文化などを証明
  • 山地・丘陵・平地・低地など変化に富んだ地形、内湾・湖沼・水量豊富な河川
  • ブナ林を中心とする冷温帯落葉広葉樹の森林
  • 暖流と寒流とが交差し豊かな漁場、サケ・マスなどの回遊魚が遡上

(2)歴史・文化

  • 縄文時代を「定住の開始」「定住の発展」「定住の成熟」の3つに分け、更にそれぞれを2つに分けた6つの時代区分
  • 定住開始の初期から高度な精神文化を構築(墓地・祭祀・儀礼の場である捨て場、盛土、環状列石)
  • 祖先崇拝や自然崇拝とともに、豊穣への祈念や互いの絆の確認などを行っていた

(3)構成資産

f:id:sekakenstudy:20211105160234j:plain

(出典:https://www.jiji.com/jc/article?k=2021052600939&g=soc

世界遺産検定1級まとめノート3-1.最初の12件(1978年)

(1)イエローストーン国立公園@アメリ

  • 基準:78910
  • ワイオミング州モンタナ州アイダホ州の3州、アメリカ最大規模の国立公園
  • 1869~72年、4回調査の後1872年に世界初の国立公園に指定(100年後に世界遺産条約採択)
  • スー族「霊気に満ちた場所」
  • 200万、120万、60万年前に大規模噴火、最後の噴火で巨大なカルデラが形成
  • 間欠泉、温泉、噴気孔は約1万、世界の半数
  • ウィルダネス「手つかずの自然」、山火事が発生しても消さない
  • オールド・フェイスフル間欠泉、マンモス・ホット・スプリングス(テラス)
  • エメラルド湖(バクテリアなど多数の微生物や藻類の働きで青緑色の湖水)
  • イエローストーン川:ワイオミング山地→イエローストーン湖→ロワー滝(94m)→大渓谷
  • 植物:ロッジポールマツ、アメリオキナグサ、モンキーフラワー
  • 動物:アメリカバイソン、グリズリー、ヘラジカ、ナキハクチョウ
  • 1995年上流の鉱物資源調査で危機リスト→環境回復運動や計画見直しで2003年リスト脱

(2)ナハニ国立公園@カナダ

  • 基準:78
  • カナディアン・ロッキー北西、サウス・ナハニ川沿い一帯の公園
  • 上流はゆっくり、ヴァージニア滝(100m)を過ぎると急流
  • 公園内は高緯度のツンドラ地帯でありながら気候が穏やか、温泉も出る、車道なく人は少ない
  • 天候によりオーロラも見える

(3)ガラパゴス諸島エクアドル

(4)キトの市街@エクアドル

(5)ラリベラの岩の聖堂群@エチオピア

  • 基準:123
  • 標高3000m、エチオピア高原北東部
  • 12~13cザグウェ朝の7代国王ラリベラの命で建造(第2のエルサレムを目指す)
  • 11の岩窟キリスト教聖堂群(20年で制作、「天使が作った」と言われる)
  • ヨルダン川を模した川の南北に5つ、300m程離れた場所に1つ(←ギョルギス)
  • マリアム聖堂:最初、屋根は彩色、内部は壁画、中庭にマスカル聖堂
  • ギョルギス聖堂:最後、柱がないギリシャ十字型の箱←夢で王に聖ゲオルギウスが命じる
  • ゴルゴタ・ミカエル聖堂:同じデザインの2つの聖堂が内部でつながる
  • デナゲル聖堂:「聖母の家」という意味
  • アクスム王国(紀元前後)、古代ローマギリシャビザンツ帝国の建築様式の影響
  • 現役の宗教施設

(6)シミエン国立公園エチオピア

  • 基準:710
  • アフリカ第4のラスダシャン山(4260m)がそびえる山岳公園
  • 氷河がつくった渓谷や岩山、「アフリカの天井」
  • 一日の寒暖差が激しく生物種限定
  • ワリアアイベックス:ヨーロッパと陸続きだったことの証明)
  • ゲラダヒヒ:キリストの使いとして珍重、ライオンのようなたてがみの霊長類
  • 密猟や新道路建設計画等で1996年危機遺産、代替の道などの対策で2017年リスト脱する

(7)クラクフの歴史地区@ポーランド

  • 基準:4 ※2010年範囲変更
  • 11c~17cのワルシャワ遷都までの約600年間首都として繁栄
  • 登録の10㎢の旧市街に歴史的建造物が点在、かつて国王居城のヴァヴェル城(10c半ば)
  • 中世ヨーロッパで2番目に古いヤギェウォ大学、全長100mの織物会館など

(8)アーヘンの大聖堂@ドイツ

(9)ヴィエリチカとボフニャの王立岩塩坑@ポーランド

  • 基準:4  ※2008年範囲変更、2008年、2013年範囲拡大
  • クラクフの南東約15km
  • 2000万年前は海→塩湖→岩塩層
  • 10c末に存在知られる、12c末ポーランド王カジミエシュ2世が城塞建造、採掘権独占
  • 13cから本格的な採掘、14~16cはポーランド王国の財源1/3、「白い金」
  • 17cから衰退、現在も少量岩塩採掘、一部博物館、療養所(塩の殺菌作用で空気浄化)
  • 9層の坑道、700年間で深さ300m、総延長300km
  • 木製の巻き上げ機、トロッコ、坑道内に鉄道(←18cハプスブルク家フランツ2世視察用)
  • 岩塩彫刻、最後の晩餐の模写、地下101mの聖キンガの礼拝堂(シャンデリアも岩塩)
  • ポーランド王と結婚したハンガリー王女聖キンガが指輪を投げ入れた所で岩塩坑発見(伝説)
  • 2013年ボフニャの王立岩塩坑と掘削作業の管理棟が追加登録

(10)ランス・オー・メドー国立歴史公園@カナダ

(11)ゴレ島@セネガル

(12)メサ・ヴェルデ国立公園@アメリ

  • 基準:3
  • 6c~12c末にアナサジ族(農耕民)が建造、鳥の巣のような複雑な構造
  • 1c頃からアナサジ族が定住、9c頃宗教施設中心に区画された集落、12c頃崖下に集落
  • スペイン語で「緑の台地」、高いところでは2600m、マツ等の常緑樹
  • 日干しレンガ積み住居や宗教施設、大きいものは100以上の部屋
  • 最大のクリフ・パレスは崖下、200~250人居住、4層220部屋、キヴァ(円形地下礼拝所)
  • 灌漑技術で主食となる穀物栽培、手工業のための建物、陶磁器、織物、籠細工

世界遺産検定1級 まとめノート2-8.潜伏キリシタン関連遺産、百舌鳥・古市古墳群

22.長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産

(1)概要

  • 登録:2018年、基準:3
  • 長崎と天草地方で潜伏キリシタン達がひそかに信仰を続け育んだ独自の宗教的伝統を証明
  • 江戸時代空明治時代に欠けて約250年の禁教期間
  • 長崎熊本の2件8市に点在する10の「集落」とそれぞれ1つの「城跡」「聖堂」の12資産で構成
  • 日本の遺産として初めてICOMOSとアドバイザー契約をして推薦書作成
  • 登録集落で高齢化と人口減少が課題、「野崎島の集落跡」は無人

(2)歴史

宗教的伝統の歴史的過程は大きく4つの時代に区分

  1. 始まり(17c初頭~中頃)
    1549年ザビエル鹿児島上陸、1550年平戸布教、秀吉や幕府の禁教、「島原・天草一揆」、原城
  2. 形成(17c中頃~19c初頭)
    神道や仏教を装い信仰を維持、「平戸の聖地と集落」「天草の崎津集落
  3. 維持、拡大(18c末~19c中頃)
    信仰を隠せる五島列島に移住、「頭ヶ島の集落」「野崎島の集落跡」、移民の信仰黙認する側面
  4. 変容、終わり(19c後半)
    1865年「大浦天主堂」で信仰告白「信徒発見」(教皇に奇跡報告)、1873年キリスト教解禁

(3)構成資産

①始まり

(17c初頭~中頃)

原城

島原・天草一揆の主戦場、発掘で多数の人骨とキリシタンの信心具が出土

②形成

17c中頃~19c初頭)






平戸の聖地と集落「春日集落と安満岳」「中江ノ島

キリスト教伝来前からの山岳信仰の安満岳、準拠うちの中江ノ島を聖地として信仰

天草の﨑津集落

アワビ貝等を信心具、漁村特有の信仰、大黒天や恵比寿をキリスト教唯一神デウスとして信仰

外海の出津集落

聖画像をひそかに拝むことで信仰を隠し、教理書や教会歴を基に信仰、後に五島等へ移住

外海の大野集落

表向きは仏教徒神社神道を装い、神社を祈りの場として信仰

③維持、拡大

(18c末~19c中頃)






黒島の集落

平戸藩の移住政策に応じ、牧場跡の再開発地に移住、仏教寺院で信仰

野崎島の集落跡

神道聖地、沖ノ神嶋神社の神官と氏子の居住地以外未開の地に移住し信仰、無人

頭ヶ島の集落

病人の療養地の島へ仏教の開拓指導者に従って移住し信仰

久賀島の集落

後藤藩の開拓移民政策に従い未開拓地に移住し信仰

奈留島江上集落(江上天主堂とその周辺)

既存の集落から離れた海に近い狭い谷間に移住し、地勢に適応しながら信仰

④変容、終わり
18c末~19c中頃)

大浦天主堂

開国後来日した宣教師が1864年建造、1953年洋風建築として初の国宝指定

23.百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群‐

(1)概要

  • 登録:2019年、基準:34
  • この地は日本の古墳群の階層構造の頂点、他の古墳群の見本
  • 葬送儀礼の舞台としてのデザイン、埴輪、葺石、濠、幾何学的な段築など独自の建築的到達点
  • 百舌鳥エリアの仁徳天皇陵古墳、古市エリアの応神天皇陵古墳などの45件49基の古墳で構成
  • 仁徳天皇陵のような大きな古墳には陪家(ばいちょう)と呼ばれる小型の付属古墳
  • 百舌鳥・古市は「前方後円墳」「帆立貝形古墳」「円墳」「方墳」の標準的な形式4つを含む
  • 「陵」:被葬者が特定(宮内庁)、「古墳」:被葬者不特定(考古学者)
  • 宮内庁管理の陵墓は非公開、研究や治定をどう進めるかに課題

(2)歴史

  • 3c中頃に最初の前方後円墳、6c後半までに16万基以上建築(古墳時代
  • ヤマト王権は東アジアと交易、権力を示すため百舌鳥・古市古墳群は大阪湾から見える位置
  • 交易で仏教が伝わると古墳は作られなくなり、天皇の陵墓を守る役割は寺院に移る

(3)構成資産(45件49基)

▼百舌鳥エリア

(44基中23基登録)

 

仁徳天皇陵古墳(大仙古墳)

日本最大の前方後円墳、長さ840m、三重の濠、世界三大墳墓

太夫山古墳

帆立貝形古墳、仁徳天皇陵古墳の陪家、長さ65m

履中天皇陵古墳(ミサンザイ古墳)

日本3位の前方後円墳、長さ365m、円筒埴輪・形象埴輪

いたすけ古墳

長さ146m、1950年代宅地開発の危機を市民の保存運動で回避

ニサンザイ古墳

長さ300m、墳丘平坦面から隙間なく並べられた円筒埴輪発見

▼古市エリア

(45基中26基登録)

 

応神天皇陵古墳(誉田御廟山古墳

日本2位の前方後円墳、長さ425m、墳丘体積は1位、埴輪多数

津堂城山古墳

長さ210m、最初期、水鳥形埴輪等の珍しい埋葬物

仲哀天皇陵古墳

長さ245m、室町時代に城利用のため変形、濠、円筒埴輪

 

世界遺産検定1級 まとめノート2-7.明治日本の産業革命遺産、ル・コルビュジエの建築作品、「神宿る島」宗像・沖ノ島

19.明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業

(1)概要

  • 登録:2015年、基準:24
  • 日本は19c半ばから始まった近代化で約50年間という短い期間で飛躍的経済発展を達成
  • 23件の構成資産は九州5県(福岡、長崎、佐賀、鹿児島、熊本)、山口、岩手、静岡の8県11市
  • 稼働中資産を含み文化財保護法だけでなく港湾法や景観法などを組み合わせて保護計画
  • 内閣官房が推薦

(2)歴史

(3)構成資産

エリア1 萩(山口県萩)

 

1-1 萩反射炉

 

1-2 恵美須ヶ鼻造船所跡

 

1-3 大板山たたら製鉄遺跡

 

1-4 萩城下町

 

1-5 松下村塾

 

エリア2 鹿児島(鹿児島市

 

2-1 旧集成館 

 

2-2 寺山炭窯跡

 

2-3 関吉(せきよし)の疎水溝 

集成館の高炉や鑚開台の動力水車用取水口等

エリア3 韮山静岡県伊豆の国市

 

3-1  韮山反射炉

韮山代官江川太郎左衛門英龍建造、稼働していた反射炉としては唯一現存

エリア4 釜石(岩手県釜石市

 

4-1 橋野鉄鉱山

盛岡藩士大島高任建造の洋式高炉・鉱山跡、1858年日本初の連続出銑に成功

エリア5 佐賀(佐賀市

 

5-1 三重津海軍所

 

エリア6 長崎(長崎市

 

6-1 小菅修船場跡

 

6-2 長崎造船所第三船渠

 

6-3 長崎造船所ジャイアント・カンチレバークレーン

1909年日本初電動クレーン、稼働資産

6-4 長崎造船所旧木型場

1898年建設、長崎造船所最古の建造物

6-5 長崎造船所占勝閣

 

6-6 高島炭坑



1868年佐賀藩とグラバーで開発の海洋炭坑、1869年モーリス招聘され日本初蒸気機関による竪坑の「北渓井坑」、1881年から三菱所有

6-7 端島炭坑(「軍艦島」)

長崎港南西約18km、最盛期5000人生活

6-8 旧グラバー住宅

英国コロニアル様式と伝統技術の融合

エリア7 三池(福岡県大牟田市熊本県荒尾市宇城市

 

7-1  三池炭鉱・三池港

・宮原坑  (福岡県大牟田市

万田坑  (熊本県荒尾市/福岡県大牟田市

・専用鉄道敷跡 (福岡県大牟田市熊本県荒尾市)  

・三池港 (福岡県大牟田市

宮原坑:
明治~昭和主力、囚人労働禁止で1930年閉坑

万田坑

明治~昭和主力、残存施設は良好

7-2  三角西港熊本県宇城市

 

エリア8 八幡(福岡県北九州市中間市

 

8-1  官営八幡製鐵所

・旧本事務所 (北九州市)  

・修繕工場 (北九州市

・旧鍛冶工場 (北九州市

旧本事務所は創業2年前の1899年に竣工した赤煉瓦の建造物、中央にドーム・左右対称、外国人顧問技師室等

8-2   遠賀川水源地ポンプ室 (中間市

 

 

20.ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐

(1)概要

  • 登録:2016年、基準:126 ※4はない
  • 7か国17の構成資産、日本初のトランスバウンダリー、世界初のトランスコンチネンタル
  • 「近代建築の五原則」「モデュロール」「ドミノ・システム」などを提唱
  • 五原則:①ピロティ、②水平連続窓、③屋上庭園、④自由な平面、⑤自由なファザード
  • 五原則の完成形は1928年設計のサヴォワ
  • 西洋建築は壁で建物を支えてきたが、柱で支える建築構造を推進
  • 国立西洋美術館「無限成長美術館」、渦巻き状に移動し鑑賞、将来外側に増築を構想
  • 自然光を取り込む窓(現在は蛍光灯)
  • 1996年地下基礎と屋外の彫刻品に免震工事

(2)歴史

  • 1887年スイスのラ・ショー・ド・フォンで生まれ、家業時計製造のため彫刻・彫金学ぶ
  • 1917年活動拠点をパリに移し、数々の建築作品を造り名を馳せる
  • 日本の3大弟子:前川國男、坂倉準三、吉阪隆正
  • 1959年国立西洋美術館建造(実業家松方幸次郎が欧州で集めた「松方コレクション」展示用)

(3)構成資産(7か国17件)

日本(1)

フランス(10)



スイス(2)

ドイツ(1)

ベルギー(1)

  • ギエット邸:画家のアトリエ兼住宅。安価大量生産の「シトロアン住宅」

アルゼンチン(1)

インド(1)

21.「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群

(1)概要

  • 登録:2017年、基準:23 ※6は認められず(事前勧告通り)
  • 4c後半~9c末の約500年間の古代祭祀の祭祀の変遷を伝える考古資産、対外交流を示す
  • 入島制限の禁忌が現在でも守られ、九州本土の宗像大社三宮に「神宿る島」崇拝の文化的伝統
  • 沖ノ島は九州本土から約60kmの玄界灘海上、朝鮮や中国へ向かう航海上の目印
  • 岩上祭祀→岩陰祭祀→半岩陰・半露天祭祀→露天祭祀(→社殿を持つ祭祀)
  • 銅鏡、金製指輪、カットグラス破片、雛形五弦琴、富寿神宝など約8万点、全て国宝
  • 自然崇拝から宗像三女神という人格を持った神への信仰に発展したと考えられている
  • 8cの「古事記」「日本書紀」に「おきつみや」「なかつみや」「へつのみや」の名が記される
  • ICOMOS事前勧告は沖ノ島、小屋島、御門柱、天狗岩の4資産のみ登録勧告
  • 委員会は日本の主張する三社一体の信仰を評価し8資産全体での登録、基準ⅵは不認定
  • 委員会は緩衝地帯など開発の影響評価、不法上陸対策、遺産管理体制明確化等を要求

(2)歴史

  • 3cヤマト王権成立、4c後半百済との友好関係、中国とも対外交流
  • 日本と朝鮮との間の海を越えるため航海術を持つ宗像氏の協力が不可欠
  • ヤマト王権は宗像葦の信仰する沖ノ島で航海の安全を祈る国家的祭祀、奉納品を納める
  • 6c末隋・唐の中国統一、遣隋使・遣唐使の派遣、9cに至るまで沖ノ島、大島、本土でも祭祀

(3)構成資産(8資産)

宗像大社沖津宮

田心姫命、「沖ノ島」と付随する3岩礁「小屋島」「御門柱」「天狗岩」

宗像大社沖津宮遥拝所

沖ノ島から48kmの大島にある遥拝所、宗像大社の一部

宗像大社中津宮

湍津姫命、大島、17c前半の再建

宗像大社辺津宮

市杵島姫命、本土、現在の宗像大社神事の中心、12cには存在、1578年本殿再建

新原・奴山古墳群

宗像氏の古墳群、5c~6c、沖ノ島を望む台地上に41基の墳墓が一体的に築造

世界遺産検定1級 まとめノート2-6.平泉・富士山・富岡製糸場

16.平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐

(1)概要

  • 登録:2011年、基準:24
  • 12c末の末法思想とともに興隆した浄土思想の仏国土(浄土)を空間的に表現することを目指す
  • 大陸からの伽藍建築・作庭思想+日本古来の水辺の祭祀場の水景の理念・意匠・技術
  • 浄土思想は現在も宗教儀礼や民俗芸能に伝承
  • 金鶏山中尊寺毛越寺観自在王院、無量光院で構成

(2)歴史

  • 11c末、豪族の藤原清衡は平泉を政治・行政の拠点とし都市建設開始、「現世の仏国土」目指す
  • 奥州の主要な産出品の金などを京都の中央政権と公益
  • 1105年清衡は平泉に遷都、中尊寺造営、1124年境内に金色堂建立、阿弥陀如来仏国土を表現
  • 1128年清衡死去、2代目基衡、慈覚大師円仁によって開かれた古寺の毛越寺再興
  • 基衡の死後その妻が観自在王院建立
  • 3代秀衡無量光院建立、政務と生活の場の居館と極楽浄土を表現する寺院が東西に並ぶ景観完成
  • 1187年源義経が清衡の兄の迫害逃れ秀衡のもとに身を寄せる
  • 1189年4代泰衡が義経を襲撃し自害へ追い込むも、頼朝の軍勢の侵攻で奥州藤原氏滅亡
  • 鎌倉幕府の保護(毛越寺中尊寺焼失)、室町時代一般庶民からの信仰で繁栄

(3)構成資産

金鶏山

平泉中心部の西の標高98.6mの小丘、方位を示す目印、山頂に経塚、各寺院の浄土庭園で仏国土を空間的表現する際に重要

中尊寺

清衡建立、「供養願文」(奥州の戦の霊を浄土へ導く、仏国土造営の思い)

金色堂

1124年清衡建立の阿弥陀堂、方三間の阿弥陀堂建築の中で国内最古(方三間:●ー●ー●ー●、●=柱)、中尊寺で唯一現存する創建当時の建造物、堂内に藤原3代の遺体、4代泰衡の首級の須弥壇

毛越寺

基衡建立、ほとんどの建造物が失われたがかつては40の堂宇と500の禅坊、遣水は平安時代の以降としては日本で唯一かつ最大、薬師如来仏国土を表す浄土庭園

観自在王院

基衡の妻建立、1573年焼失、金鶏山と一体の景観で阿弥陀如来の極楽浄土を表現

無量光院跡

秀衡建立、平等院阿弥陀堂鳳凰堂)をモデル、4月・8月に仏堂背後の金鶏山山頂に夕日が落ち、建物全体が後光で光り輝く(西方極楽浄土の観想を目的)

17.富士山‐信仰の対象と芸術の源泉‐

(1)概要

  • 登録:2013年、基準:36
  • 富士山域を中心に2の構成資産
  • 修行や巡礼で霊力を獲得し「擬死再生」の文化的伝統(儀礼的象徴的な死と誕生・再生)
  • 19c葛飾北斎歌川広重の浮世絵、海外にも影響
  • 2013年委員会で、
    ・文化的景観の手法を反映した全体構想(ヴィジョン)
    ・来訪者に対する対策
    ・登山道の保全計画
    ・情報提供戦略
    ・危機管理戦略 等の作成、提出が求められた
  • 保全計画書を提出、2016年、2019年に保全状況の報告

(2)歴史

  • 噴火を繰り返す神秘的な山として「遥拝」の対象、8c以前から遥拝の場所に神社建立
  • 8c末、火口に鎮座する神を「浅間大神」として祭り、富士山そのものを神聖視する信仰
  • 806年天皇の名で富士山本宮浅間大社の前身とされる神社が南麓に建立
  • 865年河口浅間神社の前身とされる神社が北麓に建立
  • 11c火山活動が休止期に入り、山岳信仰密教道教が融合して修験道が隆盛、「登拝」開始
  • 登拝の起点の登山口には新たな神社が建立(後に須山浅間神社、冨士浅間神社
  • 16~17c長谷川角行、人穴に籠もり、五湖や白糸の滝で「水垢離」などの修行→「富士講
  • 18c後半富士講は一般に流行、本道の吉田口登山道の起点に北口本宮冨士浅間神社の境内が整備
  • 登山口では「御師」が宿泊、食事、巡礼路の案内、御師住宅の集落も形成

(3)構成資産

人穴富士講遺跡

長谷川角行の修行入滅の風穴「人穴」中心の遺構、約230基の碑塔群、13c「浅間大神の御在所」とされ、「吾妻鏡」に霊的体験の記述残る

富士山本宮浅間大社

806年平城天皇坂上田村麻呂に命じ浅間大神木花之佐久夜毘売命)を祀る神社として創建、各地浅間神社総本宮、山宮浅間神社から分祀、山頂に飛び地の境内地(幕府認める)

山宮浅間神社

富士山本宮浅間大社の前身、境内に本殿はなく遥拝所があり古代祭祀の形式を示す

北口本宮冨士浅間神社

1480年に「富士山」の鳥居が建立、16c社殿整備、社殿の背後に登山門、吉田口登山道、江戸時代まで吉田の御師宮司禰宜を務める

吉田口登山道

北口本宮冨士浅間神社から山頂に至る登山道、18c以降富士講の登山本道

御師住宅

北口本宮冨士浅間神社の門前に集落形成、小佐野家住宅、旧外川家住宅の2つが登録

18.富岡製糸場と絹産業遺産群

(1)概要

  • 登録:2014年、基準:24
  • 西欧の技術と日本に技術が融合した和洋折衷の建造物群
  • 製糸場は木骨レンガ造、トラス構造の屋根組み
  • 製糸場の他、「田島弥平旧宅」「高山社跡」「荒船風穴」の4資産が登録

(2)歴史

  • 鎖国のため近代技術導入に遅れ、江戸時代末期の海外輸出需要拡大に対応できず質低下
  • 明治維新後「富国強兵・殖産興業」、主要輸出品の1つに生糸
  • フランスからポール・ブリュナ招聘
  • 資材の窓ガラスや蝶番はフランスから、石や木材は群馬県内、レンガはブリュナ指導で生産
  • 1871年起工、1872年日本初の官営工場である冨岡製糸場完成・操業開始
  • 工女を全国募集、士族の子女中心、後に習得した技術を日本各地に広めた
  • 周辺で「繭の改良運動」(田島家、高山社、荒船風穴)
  • 1893年製糸場は三井家に払い下げ、別の民間事業者に引き継がれ、1987年操業停止

(3)構成資産

富岡製糸場

1872年明治政府設立、和洋建築技術融合の繭倉庫や繰糸場などがほぼ建設当時のまま残る

田島弥平旧宅

1863年通風を重視した蚕の飼育法「清涼育」を確立した田島弥平建造、建造の主屋兼蚕室、瓦葺総二階建て、喚起のための「越し屋根」、国史跡に指定

高山社跡

痛風と温度管理を調和させた「清温育」を確立した高山長五郎の生家、清温育は日本の標準養蚕法となり、国内外に技術が伝えられた

荒船風穴

1905年建造、岩の隙間からの冷風を利用した国内最大規模の蚕種(卵)の貯蔵施設、当時は年1回(春蚕中心)だった養蚕を複数回可能とし増産に貢献、国史跡に指定

世界遺産検定1級 まとめノート2-5.知床・石見銀山・小笠原諸島

13.知床

(1)概要

  • 登録:2005年、基準:910
  • 地球で最も低い緯度で海水が結氷する季節海氷域
  • 海には季節海氷(流氷)、暖流の宗谷海流と寒流の東樺太海流の境界線が海洋生物を育む
  • 陸には知床連山、湖沼や湿原、河川、硫黄孔原、森林
  • 海、陸、川に及ぶ独特の食物連鎖

(2)歴史

  • 人が住み始めたのは1万年前ごろ
  • 800年前から北海道の民族と海洋狩猟民族が吸収同化しアイヌ民族(と考えられている)
  • アイヌ民族シマフクロウ・シャチ・ヒグマを神として信仰、130年前まで手つかずの自然
  • 明治時代開拓が進むも、知床半島の厳しい自然環境でほとんど影響なし
  • 1914・1935・1949年の3度の入植全て失敗、1966年までに開拓者撤退
  • 1964年自然公園法に基づき国立公園に指定
  • 1977年自治体の「しれとこ100平方メートル運動」(日本初のナショナル・トラスト運動)

(3)季節海氷域

  • 隔絶されたオホーツク海ユーラシア大陸からの流水で海面付近に塩分のうすい層が生成
  • 海水の塩分濃度差で濃度の低い表層の海水のみ冷却されることが日本唯一の季節海氷域の要因

(4)地形と気候

  • 北米プレートに太平洋プレートが潜り込むことで生じた隆起と火山活動で半島形成
  • 最高峰羅臼岳(1,660m)、知床連山が東西を分断
  • オホーツク海ウトロ側は火山噴出物が浸食の海食崖、フェーン現象と宗谷海流で温暖少雨
  • 根室海峡羅臼側はなだらかな海岸、夏場は太平洋からの湿った南東風で多雨、海霧で低温
  • ウトロ側は観光、羅臼側は漁業が主要産業

(5)動植物

植物プランクトン大量発生に端を発する食物連鎖

  • 冬に海氷下に生じる濃塩水(ブライン)の降下で活発化した対流により下層の栄養塩が海面へ
  • 海氷氷解が始まる春頃にアイス・アルジー等の植物プランクトンが大増殖
  • それを餌とするオキアミ、小エビ等の動物プランクトンが増殖
  • それを餌とする小魚や貝類が繁殖
  • 近海にはサケ、マス、アザラシ、オオワシオジロワシ等が集まる
  • 遡上するサケ・マスは森林のキタキツネ、ヒグマ、シマフクロウの餌となる

針広混交林と植物の垂直分布>

<多様な動物>

14.石見銀山遺跡とその文化的景観

(1)概要

  • 登録:2007年・2010年範囲拡大、基準:235
  • 銀生産がアジア、ヨーロッパと日本との商業的・文化的交流を生み出す
  • 銀鉱石の枯渇と連動し伝統的技術の鉱山活動は停止、結果として考古学的遺跡が保存
  • 「残存する景観」「継続する景観」、歴史的土地利用の在り方を示す
  • 「銀鉱山跡と鉱山街」「街道」「港と港町」の3分野、14の構成資産
  • 銀鉱山跡と鉱山街:銀山柵内、清水谷精練所跡、手掘り坑道の「間歩」、石見城跡
  • 街道:銀鉱山と港間で整備(2本の運搬路)
  • 港と港街:鞆ヶ浦港、沖泊港、湯野津温泉街
  • 薪炭材の供給源の森林など豊かな自然環境も残存、鉱山と人々の暮らし、文化的景観

(2)歴史

  • 1526年銀山発見、博多の豪商神屋寿禎によって開発
  • 16c前半戦国大名大内氏の支配、神谷もその保護のもと、中国との貿易
  • 1533年朝鮮から伝来した灰吹法で生産量が増大
  • 1540年代には職人集団の形成、日本の銀精錬の最先端となる
  • 1550年代大内氏が内紛で滅亡、有力大名の争奪戦
  • 1562年に毛利氏が制し、街道を整備
  • 1600年関ヶ原の戦いの後、徳川幕府支配下、奉行大久保長安が鉱山経営
  • 大森地区の整備、銀山経営を「山師」と呼ばれる業者に委ねる
  • 1620~40年代に最盛期、年間1,000~2,000kgの銀生産(ヨーロッパにも石見の銀が流通)
  • 明治維新後の1869年、政府によって個人業者へと払い下げ
  • 1923年休山

(3)保存上の課題など

  • ICOMOSは登録に際し、基準ⅴに関するさらなる調査、証拠文書の提出を要求
  • 観光問題整理、建造物保護政策明文化、考古学的戦略確立、水質汚染調査、車道施行等を勧奨
    →街道を史跡に追加、大森地区音景観を重要伝統建造物群保存地区に追加などの保全体制整備
    →2010年委員会で登録範囲が拡大

(4)構成資産

銀山柵内

銀鉱石採掘から精錬まで一連の工程が行われた銀山跡、龍源寺間歩、清水谷精錬所跡、石銀遺跡、清水寺、唐人屋敷跡など

大森・銀山

銀山隣接谷間の鉱山街、伝統的な木造建築の集落、南の要害山に近い「銀山地区」、北の代官所跡に近い「大森地区」

鞆ヶ浦

16c前半に博多に向けて銀を積みだした港、湾に2つの小島、1つの島に神屋寿禎建立の弁天をまつる神社

沖泊・温泉津

沖泊は狭隘な入江の港、温泉津沖泊に隣接する温泉街と港

石見銀山街道温泉津・沖泊道

16c後半銀搬出と物資運搬のため整備、途中の西田集落を中継地、全長約12km、石段・側溝・石切場の跡が残る

15.小笠原諸島

(1)概要

  • 登録:2011年、基準:9
  • 長期間隔絶した環境での進化や適応拡散、極めて高い固有種率(陸産貝類、維管束植物)
  • 化石種と現生種との比較から進化系列や種の多様性の歴史的変遷を追える
  • 本土から1,000km離れ、大陸と一度も陸続きになったことがない海洋島
  • 登録陸域:聟島列島父島列島母島列島の3列島の小笠原諸島、南北の硫黄島西之島等を含 む30余りの島々の陸域(※父島母島の集落均衡、硫黄島沖ノ鳥島南鳥島は登録範囲外)
  • 登録海域:父島属島の南島周辺の一部海域(総面積79.39㎢)
  • バッファ・ーゾーンの代わりに東京湾まで続く「世界遺産管理エリア」を設定
  • プレートの沈み込みで形成される「海洋性島弧」⇔ガラパゴス諸島、ハワイ島は「火山島」

(2)歴史

  • 1593年安土桃山時代の武士で南洋探検を行った小笠原貞頼により発見
  • 1675年江戸幕府が調査、父島・母島に「此島大日本之内地」という碑を設置
  • 長らく無人だったが、1800年代に欧米捕鯨船が立ち寄るようになる
  • 1830年に5人の白人と25人のハワイ人が入植移住
  • 1876年国際的に日本の領土と認められる

(3)生態系

  • 在来の爬虫類:オガサワラトカゲ、ミナミトリシマヤモリ(2種のみ)
  • 両生類:皆無
  • 在来の哺乳類:オガサワラオオコウモリ(1種のみ)
  • 固有種、固有亜種は多く、昆虫の約25%、陸産貝類の94%が固有種
  • 特に固有族のカタマイマイ属は種類が多く、同所的適応拡散や列島間における適応拡散
  • 維管束植物の在来種441種のうち161種が固有種
  • ブナ・カシ・シイなどは皆無
  • ザトウクジラ、マッコウクジラなど23種、全世界の海生のクジラ種の約3割
  • ミナミバンドウイルカ、ハシナガイルカ
  • 鳥類195種のうち14種が絶滅・準絶滅危惧種
  • 固有種1種(メグロ)、固有亜種7種(オガサワラノスリ、オガサワラヒヨドリほか)
  • 小笠原諸島世界自然遺産地域科学委員会」の管理計画
    ①優れた自然環境の保全
    外来種による影響の排除・回避
    ③人の暮らしと自然の調和
    ④順応的な保全・管理計画の実施
  • 外来種問題:ノヤギ・ノブタは根絶、グリーンアノールは課題