世界遺産検定1級 まとめノート2-2.白神山地・古都京都・白川郷
4.白神山地
(1)概要
- 登録:1993年、基準:9
- 日本固有種のブナの純林(ヨーロッパの純林の5~6倍の植物相の多様性)
- ブナ林は照葉樹林と並ぶ代表的な極相林(植物の種類や構造が大きく変化しなくなった森林)
- 年間1.3mmのきわめて早いペースで土地の隆起が現在も進行
- 海底の「堆積岩」で覆われ地滑りを起こしやすい
(2)植生相
- 固有種:アオモリマンテマ
- 準固有種:ツガルミセバヤ、ミツモリミミナグサ、オガタチイチゴツナギ
- 日華植物区系に属する植物が大部分を占める
(3)動物相
5.古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市)
(1)概要
- 登録:1994年、基準:24
- 平安京(794年)以来1000年以上日本の都、東・北・西に山のある盆地
- 12cまでの寺社の「和洋」、16~17c「桃山様式」、浄土庭園・枯山水
- 日本各地に模倣した「小京都」
(2)歴史
- 794年桓武天皇が平安京を築いて以降、約400年貴族文化の中心地として国風文化繁栄
- 平安時代後期は東西2つの官寺以外は京内での寺院建築禁止、周辺の山中に寺院、貴族別荘
- 平安末期に浄土思想、鎌倉時代にも朝廷の権威維持、公家・武家・仏教文化が影響しあう
- 室町幕府で京都に政権の中心戻る、北山文化(鹿苑寺)、東山文化(慈照寺)
- 1467年応仁の乱で大被害、権力者や町衆(有力市民)の手で再建・保護
- 天下統一で安定し桃山文化繁栄、江戸時代には清水寺・仁和寺再建
- 明治維新以降は古社寺保存法・国宝保存法等で保護、1950年以降文化財保護法で保護
(3)構成資産(17の構成資産)
1 |
加茂別雷命、本殿・権殿は国宝、背後の神山含む |
平安 |
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2 |
加茂別雷神社から分立、流造本殿、糺の森含む |
平安 |
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3 |
東西の官寺の東のもの、五重塔 ※西寺は消滅 |
平安 |
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4 |
延鎮の私寺起源、懸造の本堂は坂上田村麻呂建立 |
平安・江戸 |
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5 |
平安 |
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6 |
874年山上伽藍904年平地伽藍整備、15c焼失再建 |
平安・桃山 |
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7 |
平安・江戸 |
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8 |
貴族の別荘を1052年に藤原頼道が改修 |
平安 |
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9 |
現存する最古の神社本殿建築 |
平安 |
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10 |
鎌倉 |
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11 |
1339年夢窓疎石が禅寺として復興、庭園が重要 |
室町 |
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12 |
山門、仏殿、法堂、方丈が一直線に配置、雲龍図 |
室町 |
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13 |
室町 |
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14 |
義政死後禅寺、1615年庭園改築で銀沙灘・向月台 |
室町 |
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15 |
室町 |
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16 |
桃山 |
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17 |
1603年将軍上洛宿泊所として造営、池泉回遊式庭園 |
桃山 |
6.白川郷・五箇山の合掌造り集落
(1)概要
- 登録:1995年、基準:45
- 合掌造り、大家族制、伝統に見合った土地利用の顕著な見本
- 白川郷(岐阜・白川村萩町59棟)、五箇山(富山・南栃市の相倉20棟、菅沼9棟)
- 庄川で結ばれる一つの文化圏
- 浄土真宗の浸透が相互扶助組織「結」など独自の社会制度を生み出す
- 白川郷:江戸時代高山藩、その後幕府の直轄領
- 五箇山:江戸時代を通じて加賀藩
- ドイツの建築家ブルーノ・タウト「合理的・論理的で日本全国で全く独特の存在」
(2)合掌造りの特徴
世界遺産検定1級 まとめノート2-1.法隆寺・姫路城・屋久島
1.法隆寺地域の仏教建造物群
(1)概要
(2)歴史
- 607年聖徳太子が若草伽藍(斑鳩寺・いかるがでら)建築、670年焼失→法隆寺西院の起源
- 7c太子子息の山背大兄王が太子の宮であった岡本宮跡に寺院建立→法起寺の起源
- 739年聖徳太子の霊をまつる伽藍(上宮王院)建造→法隆寺東院(中枢部)の起源
- 古くは鎮護国家の寺として天皇家により保護
- 12c聖徳太子信仰で信者増、各時代の権力者による保護
- 明治維新後に荒廃、明治政府1897年「古社寺保存法」で再び国家の保護
(3)構成資産(法隆寺47棟、法起寺1棟(三重塔)の48資産)
法隆寺西院伽藍 |
法隆寺伽藍配置:東に金堂・西に五重塔(世界最古の木造の塔)、雲形組物、釈迦三尊像のアルカイック・スマイル(北魏時代6cの中国文化の影響)、四間門(しけんもん):法隆寺中門・通路となる門の中央部に柱・左右には阿吽の像 |
法隆寺東院伽藍 |
周囲に回廊がめぐる夢殿を本堂、現存する最古の八角円堂、屋根は「八注造」、本尊は救世観音菩薩立像:聖徳太子と等身説、明治まで秘仏(←フェノロサ、岡倉天心) |
三重塔としては日本最古かつ最大(約24m) |
2.姫路城
(1)概要
- 登録:1993年、基準:14
- 8棟国宝、残る74棟重要文化財
- 複雑な構造の配置や屋根の重ね方を組み合させる独特の工夫、らせん状の曲輪、狭間
- 世界的にも珍しい木造城郭建築の中でも最も保存状態が良い
(2)歴史
- 16c末秀吉は毛利攻略拠点として姫路の既存城郭を改築、3層天守
- 1601~9年池田輝政が改築、5層大天守、二重堀の曲輪など造営
- 1617年本多忠政が西の丸の整備(長男忠刻とその妻千姫の居所)
- 明治時代に軍用地、取り壊しの危機
- 1919年「史跡名勝天然記念物保護法」、1931年に国宝指定
- 1934年豪雨で大被害修復作業、戦争で中断
- 1956年から昭和の大修理(大天守の解体修理、RC製の基礎構造部に取替えなど)
- 2009年から5年半に及ぶ平成の大修理(漆喰の塗り替え、瓦の全面吹き直など)
(3)構成資産
天守群 |
内郭北東部の最も高い位置、唐破風や千鳥破風を持つ屋根を5層重ねた望楼型天守、3層の屋根を持つ東小天守・乾小天守・西小天守、それぞれの間を廊下状の櫓(渡櫓) |
西の丸 |
本多忠政築造の居住用曲輪、御殿は現存せず、化粧櫓、長局 |
備前丸 |
天守群の南の曲輪跡、かつては城主居館の本丸御殿(1882年火災で消失) |
通路 |
天守群に向かい次第に高くなる設計、要衝に門櫓 |
3.屋久島
(1)概要
- 登録:1993年、基準:79
- 北緯30度、九州最高峰の宮之浦岳(1936m)などの山岳島
- 年間降水量4400㎜
- 東京23区より少し小さい約500㎢に亜熱帯植物から亜寒帯植物まで垂直分布
(2)歴史
- 最初の記録は600年代の古文書
- 江戸時代薩摩藩による伐採約200年、明治維新後大部分国有林化
- 1923年「屋久島憲法」(屋久島国有林経営の大綱)、24年に原生林は天然記念物指定 ※人工造林等に伴う天然の屋久杉の伐採は継続
- 1964年に九州の霧島とともに国立公園に編入
- 1980年にMAB計画の生物圏保存地域に指定、80年代に一切伐採禁止、93年登録
- 2005年島北東部がラムサール条約登録
- 2011年霧島と切り離され「屋久島国立公園」として独立
(3)植生、動物
- 植物の垂直分布
0~100m :アコウ、ガジュマル、メヒルギ
~7/800m:シイ、カシ類
~1,200m:暖温帯針葉樹林
※1600m付近に日本最南端の高層湿原:ミズゴケ、コケスミレ
~1,800m:冷温帯針葉樹林
~山頂部 :ヤクシマダケ、ヤクシマシャクナゲ - 哺乳類4種の固有亜種
・ヤクザル
・ヤクシカ
・ヤクシマジネズミ
・ヤクシマヒメネズミ - 鳥類2種の固有亜種
・ヤクシマカケス
・ヤクシマヤマガラ
(4)屋久杉
- 過去の寒冷期にブナ、ナラなどが南下しなかったため針葉樹林が現存(遺存固有)
- 樹齢1000年以上は屋久杉、1000年未満は小杉
- 大きいものは直径3~5m、標高600~1800mまで広く分布、現在2000本以上確認
- 樹脂の防腐・防虫効果→土埋木、倒木更新、切り株更新
世界遺産検定1級 まとめノート1-8.リスト記載までの流れ・世界遺産の今後
1.世界遺産リスト記載までの流れ
(1)概要
- 締約国はセンターの協力のもと暫定リストを作成(英語orフランス語)
- センターは暫定リストを関係機関に伝達、センターのサイトで公開
- 暫定リストに載っていない遺産は推薦不可
- 2月1日までセンターに推薦書提出(前年9月30日まで草案を提出しコメント得ることも可)
- センターへの書類は2月1日〆が多いが、登録遺産の状況報告書は12月1日〆(2014年決定)
- 推薦書をセンターに提出してから登録まで1年半ほど
- 日本の場合:9月頃関係省庁連絡会議で推薦遺産を決定、1月推薦書の閣議了解
(2)推薦書の記載内容
- 資産の範囲
- 資産の内容
- 登録の価値証明(OUVの根拠とあてはまる登録基準)
- 保全状況及び資産へ影響を与える諸条件
- 保全管理(保護のための法的措置、計画的措置、管理計画等)
- モニタリング(保全状況測定の指標等) 等
(3)登録までの流れ
2月1日までに推薦書提出
↓
推薦書がセンターで「完全」と判断
↓
諮問機関へ推薦状送付:ICOMOSとIUCNが調査、審査(夏頃)
※追加情報の提出の必要があれば、翌年1月31日までに保有国に通知
↓
委員会6週間前までに審査結果と提言を評価報告書にまとめ、4段階の勧告をセンターに提出
↓
委員会で審査、登録を決定
- 委員国の意見がまとまらず投票の場合は2/3以上同意で可決
- 2022年委員会審議の推薦遺産から、推薦書提出費用を推薦国が負担(自発的な財政貢献)
- 2021年委員会は7月16~31日。当初中国福州開催予定もWeb化、延期の2020年と合わせ審査
(4)アップストリーム・プロセス
- 2008年委員会で示され、2015年委員会で採用決定
- 委員会審議までの間に推薦国からの求めで諮問機関等が助言、相談、分析等の支援を行う仕組み
(5)プレリミナリー・アセスメント(事前評価)
- 現在導入を検討中
- 推薦書提出前に諮問機関が書面で事前調査と審査を行う仕組み
2.世界遺産と観光
(1)正の側面
- 世界遺産を資源とする観光は相互理解の有効な機会
- 観光収入の遺産保護、インフラ整備、地域社会への分配は積極的に行うべき
(2)負の側面
- オーバーツーリズム、遺産の破壊、汚染、住民の日常への支障
→1980年IUCN世界保全戦略「持続可能な開発」
→1992年「アジェンダ21」(観光を持続可能な開発に積極的に貢献できる経済分野と位置づけ)
→委員会「世界遺産と持続可能な観光計画」(観光資源として活用するための指針)
3.世界遺産条約の今後
- 不均衡・登録数増で信頼性減少、環境破壊、遺産破壊、都市開発、過度の観光化などへの対応
- 「点」で保護してきた遺産を周辺の景観も含んだ「面」で保護する施策
- バッファー・ゾーンを超える一帯を含めて評価する「遺産影響評価」
世界遺産検定1級 まとめノート1-7.世界遺産条約と関連する憲章・条約
(1)アテネ憲章(歴史的記念建造物の修復のためのアテネ憲章)
- 1931年第1回「歴史的記念建造物に関する建築家・技術者国際会議」で採択
- 記念物や建造物、遺跡などの保存・修復に関する基本的な考え方を初めて明確に示した
- 修復の際に近代的な技術と材料の使用を認める
(2)ヴェネツィア憲章(記念建造物及び遺跡の保全と修復のための国際憲章)
- 1964年第2回「歴史的記念建造物に関する建築家・技術者国際会議」で採択
- 修復の際には建設当時の工法・素材を尊重すること
- 推測による修復の禁止
- 歴史的に誤解を与えぬよう修復箇所を明らかにすること
- 修復に際して不可避な付加工事があった場合には後から補ったものであることを示す
→条約の「真正性」概念となり、真正性の検証機関としてICOMOSが設立(1965年) - 伝統的な技術が明らかに不適切である場合のみ、近代的な技術を用いることができる
・姫路城:昭和の大修理で礎石をRCの基礎構造部に置き換え
(3)ハーグ条約(武力紛争の際の文化財の保護に関する条約)
(4)文化財の不法な輸入、輸出及び所有権譲渡の禁止並びに防止の手段に関する条約
- 1970年第16回ユネスコ総会で採択、1972年発効
- 盗難された文化財の密貿易等を禁止
- 加盟国は、以下を求められる
・文化財の認定や目録の作成
・保護機関の設置
・不法輸出文化財の復旧を保証する加盟国間の協定の締結
・摘発のための国際協力
・善意購入者への補償
・教育活動
(5)人間環境宣言(ストックホルム宣言)
- 1972年ストックホルム「国際連合人間環境会議」で採択
- 国際社会が初めて環境問題と環境保全について取り組む原則をまとめた
→文化遺産と自然環境の保護・保全の条約作りが進められ同年ユネスコ総会で世界遺産条約へ
(6)公的又は私的の工事によって危機にさらされる文化財の保存に関する勧告
- 1968年第15回ユネスコ総会で採択(ヌビアの遺跡群の救済活動を受け)
- 社会的・経済的な発展による変化との調和を図りながらの保護・公開を各国の義務
(7)歴史的都市景観の保護に関する宣言
- 2005年10月締約国会議で宣言
- 2005年5月、ウィーン中央駅界隈の開発と遺産保全を巡る国際会議で「ウィーン・メモランダム」
- ウィーン・メモランダム:世界遺産と現代建築に関するウィーン覚書
- 世界遺産に関しては、
・歴史的都市景観の概念を推薦書などの保護計画に含むことを推奨
・世界遺産のOUVはどんな保護方針や運営方針よりも中心にすえられるべき
(8)ラムサール条約(特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約)
(9)世界遺産におけるボン宣言
(10)世界遺産条約履行に関する戦略的行動計画(2012-2022)
2011年締約国会議で採択、締約国共通の目標を定める
- OUVの維持
- リストの信頼性向上
- 環境・社会・経済的要求を考慮した遺産保護・保全
- ブランド力向上
- 委員会の行動力強化
- 条約決議の公開と実行
世界遺産検定1級 まとめノート1-6.世界遺産に関係する諸概念
6.世界遺産に関係する諸概念
(1)真正性(authenticity)
- 文化遺産に求められる概念、文化的背景の独自性や伝統を継承していること
- 1964年ヴェネツィア憲章の考えを反映
- 1993年「法隆寺地域の仏教建造物群」登録後、日本が「真正性に関する奈良会議」を主導
- 1994年「奈良文書」が採択、真正性の考えが柔軟化
- 遺産の保存は地理や気候、環境などの自然条件と、文化・歴史的背景などとの関係の中ですべき
- その文化ごとの真正性が保証される限りは遺産の解体修復や再建等も可能
(2)完全性(integrity)
- 全ての世界遺産に求められる概念
- 世界遺産のOUVを構成するために必要な要素が全て含まれている
- 長期的な保護のための法律などの体制も整えられている
- 完全性を証明する条件(作業指針に3点が規定)
①OUVが発揮されるのに必要な要素が全て含まれているか
②遺産の重要性を示す特徴を不足なく代表するために、適切な大きさが確保されているか
③開発あるいは管理放棄による負の影響を受けていないか
(3)文化的景観(Cultural Landscapes)
- 1992年第16回委員会で採択された概念
- 世界遺産条約第1条の「遺跡」の定義中の「自然と人間の共同作品」に相当
- 人間社会が自然環境による制約のなかで、社会的、経済的、文化的に影響を受けながら進化してきたことを示す遺産
- 自然の景観と人工の景観の両方を含む
- 1993年ニュージーランドの「トンガリロ国立公園」で初めて認定
- 「人類と環境との交流を示す顕著な見本」として登録基準ⅴの認定も多い
<文化的景観の3カテゴリー>
- 意匠された景観
庭園や公園、宗教的空間など、人間によって意図的に設計され創造された景観 - 有機的に進化する景観
社会や経済、政治、宗教などの要求によって生まれ、自然環境に対応して形成された景観。農林水産業などの産業とも関連している。既に発展過程が終了している「残存する景観」と、現在も伝統的な社会の中で進化する「継続する景観」に分けられる - 関連する景観
自然の要素がその地の民族に大きな影響を与え、宗教的、芸術的、文学的な要素と強く関連する景観
(4)グローバル・ストラテジー
- 正式名称「世界遺産リストにおける不均衡の是正及び代表性、信頼性の確保のためのグローバル・ストラテジー」
- 1994年第18回委員会で採択
- 地理的拡大
- 産業関係、鉱山関係、鉄道関係の強化
- 先史時代の遺跡群の強化
- 20世紀以降の文化遺産
- ストラテジーは当初文化遺産を想定していたが、自然遺産や複合遺産も対象
- 複数保有国は推薦間隔を空ける、登録少ない分野を推薦、非保有国の登録推薦と連携
(5)シリアル・ノミネーション・サイト(Serial Nomination Site)
- 連続性のある遺産を全体としてOUVを有するものとして登録した遺産
- 個々の構成資産がOUVを持っている必要はなく、全体としてOUVを持っていればよい
- 最初の登録遺産にOUVあれば、追加のため複数年に渡る審議を前提とした推薦書もOK
(6)トランスバウンダリー・サイト(Trans-boundary Site)
- 当初自然遺産を想定し提案されたが、文化遺産にも用いられる概念
- できる限り関係締約国が共同で登録推薦書を作成し、共同管理委員会・機関等を設立して遺産全体の管理・監督をすることが強く推奨
- 国境を接する遺産であっても別々の遺産として登録されているものは含まれない
・イグアス国立公園(アルゼンチン・ブラジル)
・サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路(スペイン・フランス)
(7)世界遺産条約履行のための戦略的目標「5つのC」
- 4つのC:条約採択30周年の2002年ブダペスト「世界遺産に関するブダペスト宣言」
- 5つのC:ニュージーランド第31回委員会
- 世界遺産センターは1年間の活動を5つのCの分類に当てはめて報告している
・Credibility:信頼性
・Conservation:保存
・Capacity-building:能力開発
・Communication:情報伝達
・Community:共同体
2.人間と生物圏計画(Man and the Biosphere program:MAB計画)
世界遺産検定1級 まとめノート1-5.OUVの評価基準
1.OUVの評価基準
- OUV評価基準として作業指針に10項目の登録基準
- かつては文化1~6、自然1~4に分かれていたが2005年に指針改定で共通の1~10、2007年適用
2.登録基準の概要
■登録基準ⅰ
■登録基準ⅱ
- 文化の価値観の相互交流を示す遺産
- 交易路や大きな文化・文明の接する位置に多い
- 日本の文化遺産で認められることが多い
■登録基準ⅲ
- 文化的伝統や文明の存在に関する証拠を示す遺産
- 古代文明に関する遺産に多い、人類の化石遺跡なども含まれる
■登録基準ⅳ
- 建築様式や建築技術、科学技術の発展段階を示す遺産
- 建築が特徴の多くの遺産が基準を満たす
- オペラハウス、平泉は「代表的な段階」を示していないため認められず
■登録基準ⅴ
- 独自の伝統的集落や、人類と環境の交流を示す遺産
- 存続が危うい集落や景観、農業景観や文化的景観
■登録基準ⅵ
■登録基準ⅶ
- 自然美や景観美、独特な自然現象を示す遺産
- 世界的に有名な自然遺産の多くが満たす
■登録基準ⅷ
- 地球の歴史の主要段階を示す遺産
- 地層・地形・古代生物の化石遺跡など
- 日本の遺産には認められていない
- 小笠原諸島はプレートが地上に露出したボニナイトがあり申請したが認められず
■登録基準ⅸ
■登録基準ⅹ
世界遺産検定1級 まとめノート1-4.世界遺産の定義
1.世界遺産の定義
(1)顕著な普遍的価値
- OUV:Outstanding Universal Value
- 人類全体にとって現在だけでなく将来世代にも共通した重要性を持つような傑出した文化的意義や自然的価値
- 真正性、完全性、法的な保護やバッファー・ゾーンの設定を含む保全管理、登録基準との適合等が含まれる
- 登録の際に言明必要。2006年以前登録のものは遡って言明(2010年委員会決定)
(2)文化遺産
- 人類の歴史が生み出した記念物や建造物群、文化的景観など
- 登録基準ⅰ~ⅵのいずれか1つ以上を認められている遺産(条約1条)
(3)自然遺産
- 地球の生成や動植物の進化を示す、地形や景観、生態系など
- 登録基準ⅶ~ⅹのいずれか1つ以上を認められている遺産(条約2条)
(4)複合遺産
- 文化遺産と自然遺産、両方の価値を備えているもの
- 登録基準ⅰ~ⅵのいずれか1つ以上及び登録基準ⅶ~ⅹのいずれか1つ以上を認められている遺産(条約に定義なし)
- 作業指針で定義→文化・自然遺産の定義(の一部)の両方を満たす場合は、複合遺産とみなす
(5)危機遺産
- 危機にさらされている世界遺産リスト(危機遺産リスト)に登録されている遺産
- 「明白な危機」「潜在的な危機」←作業指針に定め
- 保有国は保全計画の作成・実行
- 基金の活用等の財政的・技術的援助
- 委員会は保全状況をリアクティヴ・モニタリング、毎年審議
- 緊急的登録推薦:登録と同時に危機遺産に登録
- OUVが損なわれたと判断された場合はリストから抹消
(6)負の遺産
- 人類が犯した過ちを記憶にとどめ教訓とする遺産(条約に定義なし)
- 一般的には、ゴレ島、アウシュヴィッツ・ビルケナウなど