世界遺産検定1級 まとめノート1-3.世界遺産委員会諮問機関・ユネスコ
1.世界遺産委員会諮問機関
(1)ICCROM、ICOMOS、IUCN
- 専門分野について条約履行に関する助言
- 委員会文書、会議議題の作成
- 決議履行に関してセンターを補佐
- 基金の活用強化
- 遺産保全状況の監視
- 国際的援助の要請の審査
- 事前の専門調査で「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の4段階の勧告
(2)ICCROM(文化財の保存及び修復の研究のための国際センター)
- 本部:イタリア・ローマ(ローマセンター)
- 設立:1959年ユネスコ設立の政府間機関(1956年ユネスコ第9回総会で創設決議、1959年設立)
- 不動産や動産の文化遺産の保全強化を目的とした研究、記録の作成・助言、技術支援、技術者等の研修や要請、普及・広報活動(※世界遺産条約は動産は対象外)
(3)ICOMOS(国際記念物遺跡会議)
- 本部:フランス・パリ
- 設立:1965年設立の非政府機関(NGO)、ヴェネツィア憲章の原則を基に設立
- 建築遺産や考古学的遺産保全の理論や方法論、科学技術の応用を推進
- 推薦された文化遺産・複合遺産の調査・審査、委員会に審査報告
(4)IUCN(国際自然保護連合)
- 本部:スイス・グラン
- 設立:1948年設立、国会や政府機関、NGO、科学者などをメンバーとする世界的組織
- 推薦された自然遺産・複合遺産の調査・審査、委員会に審査報告
- 文化的景観の価値で推薦された文化遺産の自然の価値や保全管理についてICOMOSへ助言
2.ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)
世界遺産検定1級 まとめノート1-2.締約国会議・委員会・センター・基金
(1)世界遺産条約締約国会議
- 全締約国による会議、1976年1月第1回ナイロビ
- 2年ごとのユネスコ総会会期中に開催
- 分担金の決定
- 委員会委員国の選定
- 委員会提出の活動報告書の受理
(2)世界遺産委員会
■概要
- 1976年締約国会議で設立、当初15か国、1977年から21か国
- 通常1年1度開催
- ICCROM、ICOMOS、IUCNの代表各1人が顧問で参加
- 締約国の要請で政府間機関やNGOの代表も顧問で出席可
- 委員国は任期6年(自発的に4年で終え、再任自粛が望ましい)
- 非保有国は一定の議席を割り当てられることもできる
- 地域間の公平性を考慮
■活動
- 登録推薦された遺産に対し、「登録」「情報照会」「登録延期」「不登録」の決議をする
- 不登録の場合、例外的な場合を除き再推薦はNG
※例外:新たな科学的情報、別の登録基準で再推薦 - 1締約国の推薦上限は1回1件、審議数は35件まで
■主な審議内容
- 推薦された遺産の審議
- リストへの追加・解除の決定
- 遺産の保全モニタリング、報告書を通した調査
- 世界遺産基金の使途の決定
- 作業指針の改定及び採択
- 2年ごとの締約国会議とユネスコ総会への活動報告書提出
- 国際的援助の要請の審査 等
■ビューロー会議
- 議長国1、副議長国5、書記国1の7か国、任期1年
- 委員会の進行、作業日程の決定
- 委員会最終日に次回ビューロー会議構成国を決定
<2021年のビューロー会議構成国>
議長国:中国
副議長国:バーレーン、グアテマラ、ハンガリー、スペイン、ウガンダ
書記国:バーレーン
<2022年のビューロー会議構成国>
議長国:ロシア
副議長国:セントクリストファー・ネイビス、サウジアラビア、南アフリカ、スペイン、タイ
書記国:バーレーン
<参照サイト:https://whc.unesco.org/en/sessions/45COM>
(3)世界遺産センター(世界遺産委員会事務局)
- 1992年設立、委員会を補佐する事務局、パリ・ユネスコ本部内常設
- 登録推薦書を受理、事務局登録、専門調査を依頼
- 締約国会議、世界遺産委員会の開催・運営
- 締約国会議と委員会での決議の履行や実施状況の報告
- グローバル・ストラテジーを含む諸活動の調整
- 定期報告の取りまとめ
- 国際援助の調整
- 世界遺産保全管理のための予算外資金の確保
- 広報活動
(4)世界遺産基金
■概要
- 1976年設立の信託基金(ユネスコ財政規則に基づく)
- 財源:ユネスコ分担金の1%を超えない範囲(実際は1%を適用)の拠出金と任意の拠出金、政府間機関・個人の贈与・遺贈
- 課題:資金不足(2018年米国脱退)、緊急援助より準備援助に優先的に振分
- 締約国は2年に1回拠出金(未払国は委員国NG、緊急援助以外の国際援助もNG)
- 委員会が決定する目的にのみ使用可能(政治的条件はNG)
■基金運用の基準
- 緊急援助:災害・事故・紛争等での被害からの復興費用
- 準備援助:事前調査への準備援助
- 保全・管理援助:専門家等の派遣・機材購入、専門家育成、教育・広報等
世界遺産検定1級 まとめノート1-1.世界遺産条約・作業指針
1.世界遺産条約
(1)世界遺産とは
- 世界遺産リストに記載されている「顕著な普遍的価値:OUV」を有する自然、記念物、遺跡等
- 「世界遺産とは、地球の品位を守るもの」(桑原武夫京都大学名誉教授)
- 1978年に最初の12件、2021年8月時点で1154件(文化897、自然218、複合39)
- 危機遺産52、トランスバウンダリー41、削除3
<参照サイト:World Heritage List>
(2) 世界遺産条約
- 萩原徹日本政府代表が議長の1972年第17回ユネスコ総会で採択
- 世界遺産基金への支払義務で賛否分かれ、賛成75(棄権17、反対1)で可決
- 締約国20に達した1975年12月17日発効
- 現在締約国は194の国・地域(2020年7月23日にソマリアが加盟)
- 遺産保有国167、非保有国27
- 日本は1992年6月30日に受諾書を寄託、9月30日発効
(3)世界遺産条約の目的
■構成
1章 文化遺産及び自然遺産の定義(1~3条)
2章 文化遺産及び自然遺産の国内的及び国際的保護(4~7条)
3章 世界の文化遺産及び自然遺産の保護のための政府間委員会(8~14条)
4章 世界の文化遺産及び自然遺産の保護のための基金(15条~18条)
5章 国際的援助の条件及び態様(19~26条)
6章 教育事業計画(27~28条)
7章 報告(29条)
8章 最終条項(30~38条)※加入、廃棄、改正
■内容
■ポイント
- 文化遺産と自然遺産を1つの条約で保護
- 世界遺産の保護・保全の第一義的な義務・責任は締約国
- 国際社会全体の義務として、遺産の保護・保全に協力
- 教育・広報活動の重要性
- 世界遺産に社会生活の中で機能・役割を付与
2.世界遺産条約履行のための作業指針
- 1977年第1回委員会で採択
- 4年の周期で改定
- OUVの定義
- ⅰ~ⅹの登録基準を示す
- 真正性、完全性の定義
- 世界遺産リストへの申請・登録の手順・スケジュール
- 基金に基づく国際援助や保全状況の報告手続
- 諮問機関、関連機関、関連条約エンブレムの使用規定等
自己紹介
ブログを読んでくださりありがとうございます。
このブログは、管理人が世界遺産検定マイスターを目指し勉強しながら、世界遺産検定を受験しようと考える方へ情報共有するためのブログです。
マイスターを目指すため、
- 世界遺産検定1級・2級受験時に作成した「まとめノート」の公開とアップデート
- マイスター試験の問題に対応しうる情報整理
を行っていく予定です。
自己紹介のため、本記事では、管理人の検定受験歴・成績と勉強法について書いておきたいと思います。
管理人の検定受験歴・成績
<2級>
管理人は2級から受験しました。学習期間は約2カ月(社会人なので主に仕事後や土日に学習)でしたが、97点(/100点)のスコアで合格することができました。
<1級>
1級の学習期間は約3カ月でしたが、160点台(/200点)で合格しました。高得点とは言えませんが、合格ラインは140点程なので、3カ月の学習の割には良い成績と言えるのではないかと思います。
<成績>
詳細な成績は開示できませんが、管理人は試験範囲のうち、「基礎知識」と「日本の全遺産」に特化して学習しました。その結果、1級・2級とも、この2分野に関しては1問ずつしかミスしておりません(満点を取れなかったことが悔やまれます・・・)。
管理人の勉強法
世界遺産検定1級・2級の問題はかなり細かい知識を問われます。試験範囲も、1級では公式テキストの上下2分冊合計で約900ページと膨大です。そのため、試験対策としては、公式テキストや世界遺産関連書籍、ネットなどから試験に必要な情報を抽出し、コンパクトにまとめることが効果的だと思います。管理人は、情報をコンパクトにまとめた「まとめノート」を作成することで効率良く得点できる力を身に着けることができました。
まとめノートは、「基礎知識」と「日本の全遺産」について重点的に作成し、試験まで繰り返し勉強しました。その結果、この2分野については、1級・2級とも上記の通りの成績を獲得し、大きなアドバンテージを得ることができました。ここで大きく点数を取れたので、1級の「世界の遺産」「その他」等の分野ではそれなりにミスをしたものの、余裕をもって合格することができたのです。
他の方のブログなどでも言われていますが、世界遺産検定の1級・2級は、対策をしやすいこの2分野で高得点を取れれば一気に合格に近づくことが可能です。そのため、これから受験する方には、この2分野の勉強を重点的に行うことを強くお勧めします。
「まとめノート」について
まとめノートは、「世界遺産の基礎」と「日本の遺産」について重点的に作成しています。管理人作成のまとめノートは1級の対策を想定していますが2級の対策にも使えるものとなっています(2級用としてはややオーバースペックではありますが)。マイスターに合格するためにも基礎知識を確実にすることが大切だと考えており、まとめノートも適宜アップデートを重ねていくつもりです。
▼まとめノートの目次はこちらから
本ブログについて
限られた勉強時間で効率の良いまとめノートを作成することはなかなか難しいものです。本ブログでは、項目ごとにまとめノートを公開していきますので、みなさんの世界遺産検定対策の一助となれば幸いです。また、まとめノートに対し、誤記や情報の不足・更新漏れ、よりよいまとめ方・覚え方などのご提案がある場合には、コメント機能などでご指摘をいただけますと幸いです。
マイスター対策に関しては、定義問題や論述のキーとなる世界遺産を中心に、情報をまとめていく予定です。こちらについても、みなさんからのご意見、ご指摘をいただければ幸いです。